BOD(生物化学的酸素要求量)

最終更新日: 2026-08-31

BOD(生物化学的酸素要求量)とは

(1) BOD(Biochemical Oxygen Demand、生物化学的酸素要求量)は、所定の試験条件で水中の微生物等の作用によって消費される溶存酸素量を、通常 mg/L で表す水質指標です。

(2) BODが大きいほど、生物分解に伴う酸素要求が大きく、生物分解されやすい有機物による汚濁が大きい傾向を示します。

(3) BODは、水中にその時点で実際に溶けている酸素濃度であるDOそのものではありません。

(4) BODは微生物等による生物化学的な酸素消費を利用するのに対し、CODは所定の酸化剤による化学的な酸化に要する量を酸素量に換算する指標であり、測定原理が異なります。

BOD5の測定原理

(5) BOD5は、適切に調製した試料について培養前のDOと所定期間培養後のDOを測定し、その酸素消費量を希釈倍率や必要な補正に応じて試料1 L当たりの値へ換算して求めます。

(6) BODが高い試料等では、培養中にDOを使い切ってしまわないよう、希釈倍率の異なる希釈試料を調製して測定します。試料中の微生物が十分でない場合などには、方法に従って植種希釈水を用いることがあります。

(7) 希釈試料では培養前のDOを測定し、別の培養瓶を培養した後にDOを測定します。BODはこのDO差を基礎に求めるため、単に元試料のDO値だけを測る試験ではありません。

(8) 環境省のBOD分析資料では、希釈試料を 20±1℃で5日間 培養して培養後のDOを測定する手順が示されています。

(9) したがって、「無希釈の元試料を5日放置し、前後のDOを単純に引けば常にBODになる」とは限りません。試料の性状に応じた希釈、植種、ブランク等を含む所定の試験操作に従います。

BOD値に含まれ得るものと限界

(10) 通常のBOD測定では、培養中に硝化が進むと、アンモニア性窒素等の酸化に伴う酸素消費がBOD値へ加わることがあります。

(11) ATU-BODはN-アリルチオ尿素(ATU)等で硝化を抑制して測定するBODで、硝化を抑制しない通常BODと同じ値になるとは限りません。

(12) BODは「水中の全有機物量」を直接量る試験ではありません。生物分解されにくい有機物は十分に反映されにくく、微生物活性を阻害する物質があると酸素消費が小さく出ることもあるため、BODだけで全有機物量や原因物質を確定しません。

水域での意味

(13) 未処理の生活排水などから生物分解可能な有機物が河川等へ多く流入すると、その有機物を分解する微生物が酸素を消費します。

(14) 有機物分解による酸素消費が、水面からの再ばっ気や光合成などによる酸素供給を上回ると、水域のDOが低下します。

(15) DOの低下は、水生生物の生息環境を悪化させることがあります。

浄化槽の法定検査でのBOD

(16) 2026年1月改正後の第7条・第11条検査では、BODの器具・試験操作は JIS K 0102-1 箇条18 に基づく扱いへ更新されています。

(17) 法定検査のBOD試料は消毒槽等に入る直前の処理水から採取します。試料は10℃以下で運搬し、9時間以内に試験することが望ましいとされています。採水・保存の詳細は sampling-preservation を原本とします。

他タグとの責務境界

  • bod: BODの定義、BOD5の測定原理、培養・希釈・DO差、硝化影響、有機物指標としての限界を扱う。
  • bod-removal-rate: 流入・放流BODからの除去率計算、採水条件、負値等を扱う。
  • concentration-load-calculation: BOD濃度×流量による負荷量計算を扱う。
  • effluent-standards-performance: BOD 20 mg/L以下、除去率90%以上等の法定基準・認定性能・適用範囲を扱う。
  • sampling-preservation: BODを含む試料採取・保存・運搬の一般原則と項目別条件を扱う。

覚え方・ひっかけ

  • BOD = 「今ある酸素量」ではなく「所定条件で消費された酸素量」。
  • BOD5 = 希釈等を含む所定の試験操作で、20±1℃・5日間の培養前後のDO差を利用する。
  • 通常BODは、条件によって硝化由来の酸素消費も含み得る。
  • BODが低い = 水中の全有機物が必ず少ない、とは限らない。

出典・参考(2026-08-31確認)

BOD(生物化学的酸素要求量)に関する問題