し尿処理・資源利用の歴史
下肥としての資源利用
(1) 日本では近世から、し尿を単なる廃棄物として捨てるのではなく、下肥(しもごえ)として農地へ戻す資源利用が行われていました。
(2) 江戸期には、便槽へ貯留したし尿をくみ取り、船・牛馬車等で郊外へ運び、肥だめ等で扱った後に田畑の肥料として利用する流れがみられました。
(3) 都市のし尿は肥料資源として価値を持ち、取引の対象となることもありました。都市から農村へ窒素・りん等を含む物質を戻す循環の一形態です。
資源循環と衛生の区別
(4) 下肥利用は資源循環の面を持つ一方、漏出、悪臭、病原体等の衛生上の課題を伴い、現代の衛生管理・水処理と同一の仕組みではありません。
(5) 都市化、伝染病対策、下水道やし尿処理施設等の整備を経て、し尿処理は肥料としての有価利用だけでなく、公衆衛生・生活環境保全を目的とする収集・処理へ比重を移しました。
(6) 近世の便槽・くみ取り・下肥利用と、現代の浄化槽法に基づく浄化槽制度は同一ではありません。江戸期から現在の浄化槽制度が存在したわけではありません。
出典・参考
- 環境省「平成20年版 環境/循環型社会白書」地域循環圏と下肥利用
- 都市から農村へのし尿の資源利用、近代化に伴う変化を確認。
- https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h20/html/hj08010202.html