リン除去型浄化槽

最終更新日: 2026-09-05

リン除去型浄化槽

リン除去型浄化槽は、通常の有機物処理に加えて、放流水中のリンを低減する高度処理を行う浄化槽です。リン除去には複数の原理があり、型式名だけから薬剤、担体、槽構成、管理値を一律に決めません。

リン除去の考え方

(1) リン除去型浄化槽は、全りん(T-P)濃度等を低減する処理機能を持つ高度処理型浄化槽です。環境省資料でも、高度処理型の一つとしてリン除去性能を持つ浄化槽が整理されています。

(2) リン除去には、凝集・沈殿等の化学的分離、鉄を利用した物理化学的な脱リン、吸着、生物学的なリン除去など複数の原理があります。実際の浄化槽で採用する原理・装置は型式によって異なります。

(3) 「リン除去型」という名称だけから、すべての浄化槽が同じ薬剤、同じ担体、同じ槽配列、同じ制御値を持つとは判断しません。認定図書・維持管理要領書等で対象型式を確認します。

凝集・固液分離

(4) 凝集を利用する方式では、リンを含む成分を凝集剤等によって固形物側へ移し、沈殿・ろ過等の固液分離で水中から除去します。

(5) 凝集反応が起きただけでは処理は完了せず、生成したフロック等を処理水から適切に分離する必要があります。

(6) 化学的に捕捉されたリンは消滅するのではなく、主として汚泥等の固形物側へ移ります。そのため、蓄積した汚泥の管理・引抜きもリン除去機能の維持に関係します。

鉄を利用する脱リン

(7) 鉄を利用する脱リンでは、鉄由来成分とリン酸が反応・結合して固形物側へ移る性質を利用します。環境省の高度処理浄化槽研究では、鉄電解脱リン法を家庭用浄化槽へ導入した実証例が報告されています。

(8) 鉄電解等の運転条件は、電極・電流・水量・流入水質・型式等で異なります。一つの電流値や交換周期をすべてのリン除去型へ共通値として流用しません。

吸着

(9) 吸着法では、リンに親和性を持つ担体・吸着材へリン酸等を捕捉して水中濃度を低減します。

(10) 吸着材の容量は有限で、使用を続ければ性能低下や飽和が起こり得ます。交換・再生等の要否は、対象方式・材料・処理性能を確認して判断します。

(11) 吸着は担体表面等への捕捉を中心とするため、凝集剤でフロックを生成して固液分離する方式とは主な除去機構を区別します。

生物学的リン除去

(12) 水処理では、微生物によるリンの放出・取り込みの差を利用してリンを汚泥側へ濃縮する生物学的リン除去もあります。ただし、すべてのリン除去型浄化槽がこの原理を採用するわけではありません。

(13) 生物学的にリンを取り込ませる場合も、リンを多く含む余剰汚泥を系外へ適切に排出して初めて、処理系全体としてのリン除去につながります。

維持管理での読み方

(14) 維持管理では「リン除去設備が付いている」ことだけでなく、対象型式が要求するT-P等の処理性能が実際に得られているかを確認します。

(15) リン除去性能が低下した場合は、採用方式に応じて、薬剤供給、固液分離、鉄電解設備、吸着材、汚泥管理等の関連要因を切り分けます。

(16) リン除去の適正条件は方式・型式・流入条件によって異なるため、「凝集剤を多く入れるほどよい」「吸着材は交換不要」「リン除去型なら同じ操作」という単純化はしません。

試験での見分け方

  • 「リン除去型はすべて同じ除去原理である」→ 誤り。複数の処理原理がある。
  • 「凝集させれば固液分離や汚泥管理は不要」→ 誤り。捕捉したリンを固形物として分離・管理する必要がある。
  • 「吸着材は使用期間に関係なく性能一定」→ 誤り。吸着容量は有限である。
  • 「生物学的リン除去ではリンが消滅する」→ 誤り。主として汚泥側へ移し、余剰汚泥の排出で系外へ出す。
  • 「リン除去型なら薬剤量や運転値を共通値で設定できる」→ 誤り。型式資料を確認する。

出典・参考(2026-09-05確認)

  • 環境省「省エネルギーと高度処理」
  • 高度処理型に窒素・リン・BODの高度除去を行うタイプがあることを確認。
  • https://www.env.go.jp/recycle/jokaso/publicity/eco/15.html
  • 環境省「窒素除去型小型合併処理浄化槽、膜処理型合併処理浄化槽、中・大型合併処理浄化槽、単独処理浄化槽の維持管理ガイドラインについて」
  • 凝集分離方式、三次処理脱窒・脱燐方式等が公的な処理方式として扱われることを確認。
  • https://www.env.go.jp/hourei/11/000288.html
  • 環境省「高度処理浄化槽におけるリン除去・回収・資源化技術の開発とシステム評価」
  • 家庭用浄化槽での吸着脱リン・鉄電解脱リンの実証と、方式ごとの維持管理条件を確認。
  • https://www.env.go.jp/recycle/waste_tech/kagaku/h20/kagaku/data/K2037.pdf
  • 環境省 中央環境審議会水環境部会 瀬戸内海環境保全小委員会議事録
  • 水処理における凝集剤によるリン除去と生物学的脱リンという異なる原理を確認。
  • https://www.env.go.jp/council/09water/10_1.html

リン除去型浄化槽に関する問題