汚濁負荷量
(1) 汚濁負荷量は、単位時間当たりに流入又は排出する汚濁物質の質量です。
(2) 汚濁負荷量は、対象物質の濃度と流量の積を基本として求めます。
(3) 濃度を mg/L、流量を m³/日で表す場合、汚濁負荷量は「濃度 × 流量 × 10^-3」で kg/日になります。
(4) 汚濁物質濃度が同じでも、流量が大きくなれば単位時間当たりの汚濁負荷量は大きくなります。
(5) 流量が同じでも、汚濁物質濃度が高くなれば単位時間当たりの汚濁負荷量は大きくなります。
(6) 濃度だけを比較しても、流量が異なる排水の汚濁負荷量の大小は決まりません。
(7) 複数の流入系統がある場合、全体の汚濁負荷量は各系統の汚濁負荷量を合計して求めます。
(8) 処理工程で除去された汚濁物質量は、同じ時間基準・比較可能な系境界で求めた流入負荷量から流出負荷量を差し引いて考えます。
単位換算の考え方
mg/L と m³/日を掛けるときは、1 m³ = 1,000 L、1 kg = 1,000,000 mg の換算が同時に入るため、最終的に 10^-3 を掛ければ kg/日へ換算できます。
例として、BOD 200 mg/L の汚水が 5.0 m³/日流入する場合、BOD負荷量は 200 × 5.0 × 10^-3 = 1.0 kg-BOD/日 です。
JOK-WQ-027:濃度・負荷量の計算
(9) WQ-027では、濃度だけを「1日に入る量」とみなさず、濃度と対応する流量を同じ時間基準で組み合わせて質量/時間へ換算する。流入・流出それぞれの負荷量を求めれば、比較可能な系境界では両者の差から除去量を求められる。容積負荷やBOD-MLSS負荷のように、さらに槽容積や汚泥量で規格化した量とは区別する。
- (10)
1 mg/L = 1 g/m³である。1 m³は1,000 Lなので、例えば250 mg/Lは250 g/m³と同じ濃度を表す。この関係を使えば、g/m³ × m³/日 = g/日と単位を追いやすい。 - (11) 濃度
C [mg/L]と流量Q [m³/日]から負荷量L [kg/日]を求める基本式はL = C × Q × 10^-3である。環境省の化学的酸素要求量に係る汚濁負荷量の測定方法でも、CODについて同じ単位系でL=C・Q×10^-3が示されている。 - (12) 流入水量100 m³/日、流入BOD 250 mg/Lなら、
250 × 100 × 10^-3 = 25 kg-BOD/日である。100 × 250 = 25,000という数値だけを見て、単位をそのままmg/日やkg/日と付けない。 - (13) 流出側も同じく、流出濃度と対応する流出流量から負荷量を求める。例えば放流水量100 m³/日、放流BOD 20 mg/Lなら、
20 × 100 × 10^-3 = 2.0 kg-BOD/日である。 - (14) 同じ1日基準で比較できる流入負荷量と流出負荷量が25 kg/日と2.0 kg/日なら、1日当たりのBOD除去量は
25 - 2.0 = 23 kg-BOD/日である。除去量は質量/時間で表し、濃度差だけでは求めない。 - (15) 除去量と除去率は別の量である。上の例では除去量は23 kg-BOD/日であり、負荷量基準の除去率は
(25 - 2.0) ÷ 25 × 100 = 92%となる。92%を92 kg/日と読み替えない。 - (16) 流入流量と流出流量が異なる場合は、濃度差に一方の流量だけを掛けるのではなく、比較可能な系境界・時間基準を確認したうえで、原則として流入側
C_in × Q_inと流出側C_out × Q_outの負荷量をそれぞれ求めて差を取る。採水値と流量の代表性が一致していない場合は、計算値だけで処理状態を断定しない。 - (17) 流入系統や排出系統が複数ある場合、各系統について濃度と対応流量から負荷量を求め、必要な系統を合計する。環境省の汚濁負荷量測定手法でも、測定場所が複数ある場合に各測定場所の汚濁負荷量を合計する考え方が示されている。
- (18) 計算では、濃度の単位(mg/L、g/m³等)、流量の単位(m³/日、L/時等)、求める負荷量の時間単位を先にそろえる。
mg/L × m³/日の式へ時間当たり流量をそのまま混ぜたり、日量と時間量を同じ数値として扱ったりしない。
WQ-027の試験での見分け方
- (19) 「100 m³/日×250 mg/L=25,000だから25,000 mg/日」→ 誤り。m³とLの換算が抜けている。正しくは25 kg/日。
- (20) 「流入250 mg/L、放流20 mg/Lだから除去量は230 mg/L」→ 誤り。これは濃度差であり、質量/時間の除去量には流量が必要である。
- (21) 「除去率92%だから除去量92 kg/日」→ 誤り。%とkg/日は次元が異なる。
- (22) 「流入25 kg/日、流出2 kg/日なので除去量27 kg/日」→ 誤り。除去量は比較可能な流入負荷量から流出負荷量を差し引く。
他タグとの責務境界
pollutant-load: 濃度と流量から単位時間当たりの汚濁物質質量を求める考え方と、mg/L・m³/日・kg/日の換算を扱う。hydraulic-load: 日平均・時間最大・ピーク流入、滞留時間、流量調整等の水量側の水理負荷を扱う。volumetric-loading: 汚濁負荷量を反応槽等の有効容積で規格化する負荷を扱う。sludge-loading: BOD負荷量を槽内の汚泥量・MLSS質量で規格化する負荷を扱う。units-concentration-flow(JOK-OV-025): mg/L、L・m³、g・kg、日・時など一般的な単位換算そのものを扱う。
覚え方・ひっかけ
- 「濃い排水 = 必ず負荷量が大きい」ではない。水量も見る。
mg/L × m³/日をそのまま kg/日としない。10^-3の換算が必要。- 汚濁負荷量は質量/時間であり、槽容積当たりの負荷や汚泥量当たりの負荷とは別の量。
- 除去量(kg/日)と除去率(%)を同じ量として扱わない。
出典・参考(2026-09-02確認)
- 環境省 化学的酸素要求量に係る汚濁負荷量の測定方法
L=C・Q×10^-3、L=kg/日、C=mg/L、Q=m³/日の基本式を確認。- 環境省 化学的酸素要求量に係る汚濁負荷量の測定手法について
- 同じ負荷量式と、測定場所が複数ある場合に各負荷量を合計する考え方を確認。
- 環境省 技術資料「資料4 技術評価取得技術の設計因子等まとめ」
- https://www.env.go.jp/content/900536250.pdf
- BOD総量を
Σ[BOD濃度(mg/L) × 流入水量(m³/日) × 10^-3]として算定する式、BOD容積負荷・BOD汚泥負荷を別の設計因子として扱うことを確認。 - 環境省「小規模事業場向け有機性排水処理技術 実証試験結果報告」
- https://www.env.go.jp/air/tech/model/work16_03/ref09-3.pdf
- 汚濁負荷量(kg/日)と容積負荷(kg/日・m³)を別の量として整理する事例を確認。