構造例示型と性能評価型

最終更新日: 2026-09-06

構造例示型と性能評価型

浄化槽の構造を学ぶときは、教材で用いられる構造例示型性能評価型という整理と、法令上の構造方法・大臣認定の仕組みを対応づけて理解します。方式名だけで構造や維持管理条件を決めず、適用する告示又は認定図書・維持管理要領書まで確認します。

二つの構造ルート

(1) 環境省資料は、浄化槽の構造を、①国土交通大臣が定めた構造方法によるもの(構造例示型)、②国土交通大臣の認定を受けたもの(性能評価型)という二つの大きなルートで整理しています。どちらも「何を作っても自由」という意味ではなく、それぞれ適用する構造方法又は認定内容に従います。

(2) 構造例示型は、国土交通大臣が定めた構造方法に適合する構造を用いる整理です。告示に示された特定方式・条件の数値を読むときは、その告示区分・対象人槽・単位装置等の適用範囲を確認し、別方式や大臣認定型式へ一律に広げません。

(3) 性能評価型は、告示の構造例だけに限定せず、申請された構造方法について性能評価を受け、その結果に基づいて国土交通大臣の認定を受けるルートです。環境省資料では、メーカー等が独自に開発した多様な処理方式の普及と結び付けて説明されています。

(4) 大臣認定の一般的な流れでは、指定性能評価機関が申請された構造方法等の性能を技術的に評価し、その性能評価書に基づいて国土交通大臣が認定します。「性能評価機関が評価しただけで大臣認定も自動完了する」「メーカーが自称すれば性能評価型になる」とは扱いません。

構造例示型からコンパクト・モアコンパクト型へ

(5) 戸建住宅向けの合併処理浄化槽では、単独処理浄化槽からの転換時にも設置スペースを確保しやすくすること等を背景に、告示に示された構造だけではなく、性能評価・大臣認定を使ったメーカー独自方式による小容量化が進みました。ここでいうコンパクト型モアコンパクト型は、小型化の技術的な流れを説明するために使われる呼び方であり、それ自体を独立した法令上の構造区分として扱いません。

(6) 環境省の令和5年度次世代浄化槽システム調査報告書では、5人槽について、初期のコンパクト型は構造例示型のおよそ70%の槽容量、その後の窒素除去性能を持つモアコンパクト型はおよそ50%の槽容量まで小容量化した流れが整理されています。同報告書の容量比較では、モアコンパクト型と代表的なみなし浄化槽(全ばっ気型・分離ばっ気型)が容量という比較軸ではほぼ同じ大きさになる例が示されています。

(7) したがって「現在の合併処理浄化槽は、みなし浄化槽と同じ大きさになった」と全機種へ一般化するのは不適切です。比較する人槽、処理性能、槽容量、本体外形、必要掘削寸法、放流ポンプ槽の有無等で結果は変わります。「同程度」と述べる場合は、何を比較した同程度かを明示します。

現行5人槽で見る規模感の例

(8) 現行製品の一例として、クボタの5人槽では、コンパクト高度処理型 KZII-5 が本体長1,580 mm・幅980 mm・高さ1,530 mm、総容量1.408 m³です。一方、同社の高度処理型 KXF-5 は本体長2,500 mm・幅1,160 mm・高さ1,780 mm、総容量2.871 m³です。KZII-5の総容量はこのKXF-5の約49%、本体の長さ×幅で見た平面寸法は約53%です。

5人槽の例本体寸法(長さ×幅×高さ)総容量この比較で分かること
クボタ KZII-51,580×980×1,530 mm1.408 m³現行のコンパクト高度処理型の規模感
クボタ KXF-52,500×1,160×1,780 mm2.871 m³同一メーカー内でも構造・用途により規模が大きく異なる

(9) この2機種は処理方式・性能条件まで完全に同一の比較対照ではないため、「小型化技術だけで49%になった」という因果の証明には使いません。現行実機の規模感を掴む補助例とし、構造例示型・コンパクト型・モアコンパクト型・みなし浄化槽の歴史的な容量比較は環境省資料を優先します。

(10) 小型化は単に槽を短くすることではありません。担体・生物ろ過等による微生物保持、固液分離・汚泥貯留、流量変動への対応、循環・移送・逆洗等を組み合わせ、限られた容量で所定性能を満たす設計へ発展してきました。そのため小容量化するほど、型式ごとの槽構成や運転条件、汚泥貯留量、逆洗・循環設定等を認定図書・維持管理要領書で確認する意味が大きくなります。

維持管理との関係

(11) 性能評価型では、同じ大分類の処理原理でも槽構成、担体、循環、逆洗、移送、制御、設定条件等が型式ごとに異なり得ます。そのため保守点検・清掃・異常診断では、一般原理に加えて認定図書・維持管理要領書等の型式資料を優先して確認します。

(12) 構造例示型の告示に具体的な寸法・負荷・設備条件が示されていても、その値が性能評価型を含む全浄化槽の全国一律の運転値になるわけではありません。数値は「どの構造・人槽・単位装置へ適用する値か」をセットで読みます。

(13) 同じBOD等の処理性能を目標とする浄化槽でも、採用する処理原理や槽構成が同一とは限りません。処理性能の等しさと構造の同一性を混同せず、処理性能は treatment-performance、各方式の構成差は treatment-processes で確認します。

試験での見分け方

  • 「構造例示型しか浄化槽として認められない」→ 誤り。大臣認定を受ける構造ルートもある。
  • 「性能評価型は告示の全寸法をそのまま満たす型式だけを指す」→ 誤り。性能評価・大臣認定という別ルートを区別する。
  • 「性能評価機関が評価すれば国土交通大臣の認定は不要」→ 誤り。性能評価と大臣認定は役割が異なる。
  • 「同じ処理性能なら内部構造も同じ」→ 誤り。性能と構造を分ける。
  • 「告示の一つの数値を全認定型式へ流用できる」→ 誤り。適用範囲と型式資料を確認する。
  • 「モアコンパクト型なら、どの5人槽でもみなし浄化槽と外形寸法が同じ」→ 誤り。環境省資料の『ほぼ同じ大きさ』は特定の5人槽を容量で比較した結果で、全型式・全寸法へ一般化しない。
  • 「槽容量を小さくしただけなので維持管理条件は従来型と同じ」→ 誤り。性能評価型は型式固有の構成・制御・維持管理条件を確認する。

出典・参考(2026-09-06確認)

構造例示型と性能評価型に関する問題