自浄作用とは
(1) 自浄作用(自然浄化作用)は、水域へ汚濁物質が流入した後、自然の働きによって水中の汚濁物質の濃度や形態が変化し、水質が回復する方向へ進む作用です。
(2) 河川の自浄作用には、物理的作用・化学的作用・生物的作用が組み合わさって関与します。
物理的作用
(3) 物理的作用には、希釈・拡散や沈殿などがあります。
(4) 希釈・拡散では、汚濁物質が水中へ広がることで局所的な濃度が低下します。
(5) 希釈・拡散で濃度が低下しても、汚濁物質の総量が減少したとは限りません。
(6) 水より重い粒子は沈殿し、水中から底質側へ移ります。
(7) 沈殿は物質を水中から底質へ移す作用であり、物質そのものが直ちに消失することを意味しません。
化学的作用
(8) 化学的作用には、酸化・還元、凝集、吸着などがあります。
これらの作用によって、汚濁物質の化学形態や水中での存在状態が変化します。
生物的作用
(9) 生物的作用では、微生物などの生物が汚濁物質を吸収・分解します。
(10) 有機物は微生物による分解を受け、無機化が進みます。
(11) 窒素・りんが藻類や水生植物などに取り込まれることも、生物的な自浄作用の一部です。
(12) 生物分解の速度や程度は、水温、流況、酸素条件、汚濁物質の性質などの影響を受けます。
DOと酸素収支
(13) 河川では、水面からの再ばっ気などによって酸素が水中へ供給されます。
(14) 有機物を好気的に分解する微生物は、水中の酸素を消費します。
(15) 有機物分解による酸素消費が再ばっ気などによる酸素供給を上回ると、河川のDOは低下します。
(16) DOの低下は、水生生物の生息環境を悪化させることがあります。
自浄作用の限界
(17) 自浄作用の大きさは一定ではなく、河川や流量、水温、汚濁源の種類などの条件によって変化します。
(18) 流入する汚濁負荷が水域の自浄能力を上回ると、水質は十分に回復せず悪化が続くことがあります。
(19) 自浄作用があることは、未処理排水を放流してよいことを意味しません。
覚え方・ひっかけ
- 自浄作用 = 物理 + 化学 + 生物の自然作用。
- 希釈で「濃度」が下がっても、「総量」が必ず減るわけではない。
- 微生物分解では酸素を消費する。DOが必ず増えるわけではない。
- 自浄作用は無限ではなく、水域条件と汚濁負荷によって限界がある。
出典・参考(2026-08-28確認)
- 国土交通省「河川水質調査要領(案)」参考資料「自浄作用」
- https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/kasen/suishitsu/pdf/s12.pdf
- 国土交通省「河川水質調査要領(案)」参考資料「河川自浄作用調査」
- https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/kasen/suishitsu/pdf/ys09.pdf