異常の診断と対策

最終更新日: 2026-09-01

異常の診断と対策

保守点検では、発泡、スカム、浮上汚泥、汚泥流出、透視度低下、バルキング・沈降不良、水量・負荷の過大/過小、悪臭などの異常所見を、見た目だけで原因名へ置き換えず、発生場所・経過・使用状況・処理状態・設備の実作動を対応づけて診断します。JOK-MA-029では発泡・スカム・浮上汚泥、JOK-MA-030では汚泥流出・透視度低下、JOK-MA-033ではバルキング・沈降不良、JOK-MA-036では水量・有機負荷の過大/過小を主題として、原因候補を一つずつ切り分ける判断を扱います。

まず「何が、どこで、いつ起きたか」を分ける

  • (1) JOK-MA-029の基本は、発泡・スカム・浮上汚泥を同じ現象として扱わず、発生槽、発生時期、量・色・持続性、臭気、気泡・ガスの有無、流入・使用状況、運転条件の変化を記録し、関連する測定値・設備状態と照合して原因候補を絞ることです。
  • (2) 水面に浮いて見えるものでも、空気を多く含む泡、油脂や固形物等が水面に集まったスカム、いったん沈降した汚泥等が再浮上する現象では、確認すべき原因と対応が異なります。外観上「浮いている」ことだけで同じ原因にまとめません。
  • (3) 点検時には、どの槽のどの位置で、いつから、どの程度発生したかを前回記録と比較します。直前の洗剤・薬品使用、使用人数・水量、ばっ気・返送・引抜き等の変更、停電や設備異常の有無も確認します。
  • (4) 泡の色、スカムの色、浮上汚泥の見た目だけから、特定の流入物質、微生物、DO不足、脱窒等を確定しません。外観は診断の入口であり、原因確定には追加所見が必要です。

発泡は界面活性剤だけに固定しない

  • (5) 発泡は、ばっ気等によって気泡が生じ、水面に泡が蓄積する現象です。流入条件、活性汚泥の状態、ばっ気・撹拌等を合わせて確認し、泡があることだけで原因を一つに決めません。
  • (6) 環境省の浄化槽自己管理マニュアルでは、洗剤を必要以上に使用した場合に異常な発泡が起こり、酸素が溶けにくくなって微生物の働きへ影響することがあると説明されています。最近の洗濯・洗浄剤使用量の変化は、発泡時に確認する流入側情報の一つです。
  • (7) ただし、発泡したという所見だけで「界面活性剤の流入が原因」と確定しません。使用状況に変化がない場合や泡が継続する場合は、MLSS・SV/SVI、負荷、ばっ気・撹拌、汚泥性状等も確認し、必要に応じてより詳しい汚泥観察へ進みます。
  • (8) 発泡を見つけても、原因確認前に空気量、汚泥引抜量、薬剤等を一律に大きく変更しません。まず流入・使用状況と処理状態を照合し、原因候補に対応した操作を選びます。

スカムは「生成場所」と「流出のおそれ」を見る

  • (9) スカムは水面側に集積した浮上物として観察します。環境省の法定検査判定ガイドラインは、沈殿分離槽、嫌気ろ床槽、ばっ気槽・接触ばっ気槽、沈殿槽、消毒槽、ポンプ槽等で、汚泥の堆積状況とスカムの生成状況を点検対象としています。
  • (10) 同じ「スカム」でも、生成した単位装置によって処理機能への影響と必要な確認が異なります。前段槽では過度な蓄積や流出、ばっ気槽等では撹拌不良や腐敗汚泥の巻上がり、沈殿槽では流出のおそれ等を対象槽の機能と結び付けます。
  • (11) スカムという名称自体は原因名ではありません。油脂・固形物の流入、汚泥・生物膜の状態、撹拌・水流、返送・移送等を確認して原因候補を切り分けます。

沈殿槽の浮上汚泥では脱窒も候補にする

  • (12) 浮上汚泥を認めたときは、汚泥界面、SV・SVI等の沈降性、越流・水流、返送・移送・余剰汚泥引抜きの実作動、活性汚泥槽の運転状態、処理水質を確認します。浮上しているという一点だけで返送不足やDO不足へ原因を固定しません。
  • (13) 硝化が進んだ活性汚泥が沈殿槽等で無酸素状態になり脱窒が進むと、生成した窒素ガスが沈殿汚泥に付着して汚泥を浮上させることがあります。沈殿槽で細かなガスを伴う再浮上が見られる場合は、脱窒を原因候補の一つとして、窒素形態、汚泥滞留、返送・引抜き等と合わせて確認します。
  • (14) 脱窒は浮上汚泥の原因候補の一つであって、すべての浮上汚泥を説明するものではありません。沈降不良、過度な汚泥蓄積、水理、返送・移送不良等も同時に確認します。
  • (15) 脱窒による窒素ガス発生と、長時間の停滞・嫌気化等に伴う腐敗を同じ現象として扱いません。硝化・窒素形態、発生場所、臭気、汚泥の滞留・堆積状況を照合して切り分けます。

腐敗・嫌気化は臭気や堆積状態と合わせて読む

  • (16) 悪臭(硫化水素臭など)がある場合は、槽内の嫌気化、ばっ気・撹拌不良、長時間の停滞、汚泥・スカムの過度な蓄積等を確認します。臭気を消毒剤や芳香剤で隠すのではなく、発生場所と原因候補に応じて対応します。
  • (17) 腐敗を疑うときは、臭気だけでなく、汚泥の長期滞留・堆積、撹拌水流、設備停止・能力低下、使用状況等を確認します。「浮いた汚泥があるから腐敗」と外観だけで確定しません。
  • (18) 環境省の法定検査判定ガイドラインでは、ばっ気槽・接触ばっ気槽等で腐敗した堆積汚泥が巻き上がり、処理機能へ影響する状態を重大な異常として扱っています。堆積状態と水流を合わせて確認します。

原因切り分けは複数の情報をつなぐ

  • (19) 発泡・スカム・浮上汚泥の診断では、①発生場所と経過、②使用状況・特殊な流入、③ばっ気・撹拌とDO、④MLSS・SV/SVI・汚泥界面、⑤返送・移送・余剰汚泥引抜きの実作動、⑥処理水質を組み合わせます。単一の測定値や作動音だけで原因を決めません。
  • (20) 環境省の維持管理ガイドラインは通常の保守点検で使用準則の遵守状況、スカム生成、汚泥堆積、単位装置・附属機器の機能状態等を点検するよう示しています。異常診断では設備側だけでなく流入・使用側も確認します。
  • (21) 原因候補を切り分けた後に、対象方式・型式の維持管理要領書等に従い、空気量、返送・移送、余剰汚泥引抜き、清掃判断、使用者への説明等から必要な措置を選びます。複数の運転条件を理由なく同時に最大化しません。
  • (22) 処置・調整後は、泡・スカム・浮上汚泥の量や位置だけでなく、DO、SV/SVI、汚泥界面、返送・移送の実作動、処理水質等の関連指標を再確認し、変更内容と結果を記録します。

汚泥流出・透視度低下は「出口から原因側へ」追う

  • (23) 汚泥の流出・透視度の低下は、沈殿分離されたはずの固形物が後段・放流側へ出ている可能性を示す重要な所見です。流入水量・水流、沈降性、汚泥界面、返送・移送、ばっ気・撹拌等を確認し、結果だけで単一原因へ固定しません。
  • (24) JOK-MA-030では、放流水・処理水の透視度低下や汚泥片の流出を入口に、①流出がどこから始まっているか、②流入水量・水理、③沈降性、④汚泥界面、⑤返送・引抜きの実作動、⑥ばっ気・撹拌状態を順に照合して原因候補を絞ります。
  • (25) 環境省の法定検査判定ガイドラインでは、透視度と、沈殿槽の水位・水流、汚泥・スカムの流出、放流先への汚泥流出との関連が示されています。透視度低下は処理状態悪化を把握する手掛かりですが、値だけから水量過多・返送不良・沈降不良等の原因を確定しません。
  • (26) 放流側で汚泥を認めたら、消毒槽・放流ポンプ槽等だけを清掃して終えず、上流へ追って沈殿槽の越流、汚泥界面、水流、スカム・浮上物、返送状態を確認します。どの段階から固形物が持ち出されているかを切り分けます。

水量・沈降性・界面・返送を分けて確認する

  • (27) 使用人数や短時間の大量使用等で流入量が増えた場合は、水位・越流水の変化、流量調整機能の状態、沈殿槽の水理を確認します。水量増加は汚泥流出の候補ですが、「使用量が増えた」という情報だけで水理負荷を唯一の原因とはしません。
  • (28) SV・SVI、フロックの状態、沈殿後の上澄み等から沈降性を確認します。沈降性が悪ければ界面上昇や流出リスクが高まりますが、SV・SVIだけで返送量や引抜量を機械的に決めません。
  • (29) 汚泥界面が越流側へ近いことは流出余裕が小さい所見ですが、それ自体は原因名ではありません。沈降性、系内汚泥量、返送・余剰汚泥引抜き、流入水量・水流を照合し、なぜ界面が上昇したかを切り分けます。
  • (30) 返送ポンプやエアリフトが作動音を出していても、必要な汚泥が実際に戻っているとは限りません。吐出・移送先・配管や弁の状態等を確認し、実返送の成立を確かめます。
  • (31) ばっ気・撹拌は生物処理に必要ですが、対象方式に対して不適切な強い水流や空気条件が沈降・固液分離へ影響する可能性もあります。逆に空気量不足も処理状態を悪化させ得るため、「透視度低下=過ばっ気」とは判断せず、DO、フロック、散気状態、沈殿槽所見と合わせます。

原因に対応した調整後、出口まで再確認する

  • (32) 原因候補を切り分けてから、対象方式・型式の維持管理要領書等に従い、流量調整、返送・移送、余剰汚泥引抜き、ばっ気等の必要な操作を選びます。複数の操作を同時に大幅変更すると、どの変更が有効だったか分からなくなるため避けます。
  • (33) 処置・調整後は、沈殿槽の界面・越流・実返送だけでなく、後段への汚泥流出と処理水・放流水の透視度を再確認します。変更した条件、前後の所見・測定値、残る異常を記録し、必要なら追加診断へ進みます。
  • (34) 法定検査における透視度は、消毒槽等に入る直前の処理水を採取して測定します。MA-030の原因診断では、測定値に加えて上流の沈殿分離状態を追跡します。採水・測定方法そのものは transparency-turbidity / effluent-field-check の責務です。

バルキング・沈降不良は原因型を分ける

  • (35) JOK-MA-033では、SV・SVIの悪化、沈降速度の低下、沈殿槽の汚泥界面上昇や流出リスクを入口に、①沈降試験とMLSS、②フロック・粘性・顕微鏡所見、③DO、④負荷・F/M・SRT等の運転条件、⑤腐敗性流入・硫化物等、⑥窒素・リン等の栄養条件とpH、⑦返送・余剰汚泥引抜き・沈殿槽状態を照合して原因型を切り分けます。
  • (36) SVI高値やSVの沈降不良は、汚泥の沈降・圧密性が悪化していることを示す重要な所見ですが、糸状性微生物、DO不足、負荷条件、栄養不足等の原因を直接測定する試験ではありません。一般的な目安値を、全型式共通の原因判定値や法定合否値へ置き換えません。
  • (37) 沈降性が悪化すると沈殿槽内で汚泥を保持しにくくなり、汚泥界面の上昇や越流部からの固形物流出につながることがあります。上澄みが一時的に透明でも、界面上昇や沈降不良を無視して正常とは判断しません。

糸状性と非糸状性を同じ原因にしない

  • (38) 糸状性バルキングでは、糸状性微生物がフロックから伸びてフロック同士の圧密・沈降を妨げることがあります。顕微鏡観察等で糸状体の増加を確認できれば重要な原因情報になりますが、糸状体の種類や量だけで運転条件を一意に決めません。
  • (39) 非糸状性の粘性バルキングでは、過剰な細胞外粘質物等により汚泥が粘性・ゼリー状となり、沈降・圧密が悪化することがあります。高SVIや沈降不良を見ただけで必ず糸状性バルキングと呼ばず、フロック外観・粘性・顕微鏡所見等を合わせて区別します。
  • (40) 糸状体が多いのか、粘性が強いのか、微細フロック・分散増殖等の別の固液分離異常なのかを区別してから原因条件を追います。「沈まない」という結果だけで同じ対策へ進みません。

DO・負荷・流入・栄養条件を照合する

  • (41) 糸状性バルキングの原因候補には、DOが有機物負荷に対して不足する状態、負荷・F/Mや汚泥齢の不適合、腐敗性流入や硫化物を含む条件、窒素・リン等の栄養不足、低pH等があります。どれか一つを一般原因として固定せず、現場の履歴・測定値・顕微鏡所見と照合します。
  • (42) DOは一時点・一地点の値だけで十分性を判断せず、負荷が高い時間帯、槽内位置、散気状態、MLSS等と合わせて確認します。低DOが確認できれば空気供給や負荷との釣合いを見直す候補になりますが、DO不足を確認せず空気量を一律に最大化しません。
  • (43) 負荷・F/M・SRTや窒素・リン等の栄養条件は処理方式・流入水質によって適正状態が異なります。一般資料の代表比率や運転範囲を、そのまま全浄化槽の調整値として用いず、対象方式の設計・維持管理条件と実測値を照合します。
  • (44) 腐敗性の流入、硫化物、著しいpH偏り等も糸状性微生物の選択条件となる場合があります。臭気や外観だけで確定せず、流入履歴・使用状況・pH等の関連所見を確認します。

対策は原因確認後に選ぶ

  • (45) 「バルキングなら空気量を増やす」は万能対策ではありません。低DOが主要因なら酸素供給改善が候補になりますが、低負荷・栄養不足・腐敗性流入・非糸状性の沈降不良等では、空気量だけを変更しても原因対策にならないことがあります。
  • (46) 返送量や余剰汚泥引抜量の変更はMLSS、SRT、界面、実返送、負荷等を変えるため、SVI高値だけを根拠に一律に増減しません。対象方式の運転条件と原因診断に基づいて調整します。
  • (47) 塩素等による糸状性微生物の抑制や凝集補助が用いられる処理施設もありますが、原因未確認の状態で通常の第一選択として一律に薬剤投入しません。目的微生物への影響、薬剤安全、設備・放流水への影響、対象施設の管理手順を確認し、根本原因の是正と区別します。
  • (48) 原因候補を絞った後に、DO・空気供給、負荷・流入条件、栄養条件、返送・引抜き、汚泥齢、腐敗性流入対策等から必要な操作を選びます。原因の異なる操作を複数同時に大幅変更せず、変更理由と条件を記録します。
  • (49) 対策後はSV・SVI、沈降速度、汚泥界面、処理水のSS・透視度、DO、MLSS、フロック・顕微鏡所見等を必要に応じて再確認し、沈降性と処理機能の両方が改善したかを評価します。

水量・有機負荷の過大/過小を分けて診断する

  • (50) JOK-MA-036では、実流入量、時間ピーク、流入濃度、汚濁負荷量、使用履歴、DO、汚泥・生物膜、沈殿・流出、処理水質を対応づけ、「水量負荷が過大なのか」「有機負荷が過大なのか」「長期低負荷・間欠使用の影響なのか」を分けてから対策を選びます。
  • (51) 水量負荷は流量と水理・滞留時間に関する負荷、有機負荷はBOD等の濃度と流量から決まる有機物量に関する負荷です。流量が増えたことだけで有機負荷増加率を決めず、濃度が低いことだけで水理的な過負荷を否定しません。
  • (52) 有機負荷の大小を評価するときは、対象物質の濃度だけでなく実流量を同じ時間基準で組み合わせます。BOD濃度が低下していても流量増加が大きければ質量負荷が増えることがあり、逆に流量増加時の希釈で濃度が下がっても水理負荷は増え得ます。

水量過大はピーク・HRT・流量調整・固液分離を見る

  • (53) 水量が大きくなると、槽容量が同じなら名目HRTは短くなります。短時間ピークや短絡、不均等な水流が重なると、接触・反応・沈殿に使える実効時間が不足し、沈殿槽の界面上昇や固形物流出等につながることがあります。
  • (54) 一日総流入量だけでは、朝夕・繁忙時間等の短時間ピークを捉えられません。日量、時間変動、ポンプ運転記録、水位変化等を確認し、異常所見が流入ピークと時間的に対応しているかを見ます。
  • (55) 流量調整槽等がある場合は、高水位だけで「容量不足」と決めず、レベルスイッチ、移送ポンプ、計量調整、実移送量、設定、後段への送り方を確認します。ピークを解消するために常時最大移送し、後段へそのまま水量変動を送ることを標準対応にはしません。

有機負荷過大は酸素需要と処理状態を合わせて読む

  • (56) 有機物の流入負荷が増えると、生物処理で必要となる酸素供給や微生物量との釣合いが変わります。DO低下、発泡・汚泥性状、沈降性、処理水BOD・SS等を確認しますが、一つのDO値だけで有機負荷過大を確定しません。
  • (57) 活性汚泥等の好気性処理では、実際の有機負荷に対して酸素供給が不足していないかを確認します。負荷増加が疑われても、DO、散気・ブロワの実作動、MLSS・生物膜状態、処理水質を見ずに空気量を一律に最大化しません。
  • (58) 水量過大と有機負荷過大は同時に起こることも、片方だけ起こることもあります。実流量と濃度の双方を確認し、「水量が多い=有機負荷も同じ倍率で多い」「濃度が薄い=過負荷ではない」といった置き換えをしません。

長期低負荷・間欠使用も「少ないほど良い」としない

  • (59) 長期不在、休業、季節営業等で流入水量・有機物負荷が長く低い場合、通常使用時と同じ生物量・運転状態が維持されているとは限りません。負荷が少ないことだけを処理上有利と決めず、処理方式、汚泥・生物膜、DO、機器運転、処理水質を確認します。
  • (60) 環境省の窒素除去型浄化槽維持管理ガイドラインでは、対象となる生物学的硝化脱窒法について、実流入汚水量が計画汚水量を大幅に下回ると所期の処理性能が発揮されないおそれがあることを留意事項としています。この条件を全方式共通の固定判定値へ一般化しません。
  • (61) 間欠使用では、停止期間、再使用時期、実使用人員・水使用量、機器運転の継続状況、前回のMLSS・汚泥・生物膜状態等を確認します。「以前は正常だった」ことだけで再使用直後の負荷変化に対応できるとは判断しません。
  • (62) 低負荷後に利用が急増した場合は、現在の水量・質量負荷に加えて、低負荷期間中の生物処理状態も診断材料にします。必要な調整は対象型式の維持管理要領書等に沿って段階的に行い、以前の設定へ一度に戻すことを目的にしません。

原因別に調整し、再確認する

  • (63) 流量、BOD濃度、DO、MLSS、HRT、流量調整比等には処理方式・型式・使用条件ごとの文脈があります。代表値や一時点の値を、全浄化槽共通の過負荷・低負荷判定値や調整設定値にはしません。
  • (64) 水量側が主因なら流入ピーク・流量調整・水理と固液分離、有機負荷側が主因なら流入負荷・酸素供給・生物量・汚泥管理、低負荷・間欠使用なら使用履歴・生物処理状態・再立上がりを中心に必要な措置を選びます。原因の異なる操作を理由なく同時に大幅変更しません。
  • (65) 調整後は実流入量・時間変動、流入濃度又は負荷量、DO、汚泥・生物膜、沈殿槽界面・流出、処理水質を再確認し、変更前後の条件と結果を記録します。一時的に一つの値が戻っただけで完了とはしません。

その他の代表的な異常

  • (66) 硝化不良:DO、水温、pH・アルカリ度、負荷、汚泥量・SRT、阻害性物質等を確認し、DO低下やブロワ故障だけへ原因を限定しません。
  • (67) ばっ気の偏り:一部だけ気泡・水流が弱い場合は、空気配分、配管・バルブ、散気部の閉塞・設置状態等を確認し、ブロワ本体だけへ原因を限定しません。

試験でのひっかけ

  • (68) 「泡が出たので洗剤が原因と確定」は誤りです。洗剤過多は候補ですが、流入状況と汚泥・運転状態の確認が必要です。
  • (69) 「浮上汚泥はDO不足だけで起こる」も誤りです。沈殿槽内の脱窒、沈降性、汚泥界面、返送・引抜き等を切り分けます。
  • (70) 泡やスカムを物理的に除去して見た目が改善しても、発生原因が残っていれば診断は完了していません。関連する運転・水質所見を再確認します。
  • (71) 「透視度が下がったので水量過多」「界面が高いので返送不足」など、一つの所見をそのまま原因名へ置き換えません。出口所見と水理・沈降性・界面・返送実作動をつなげます。
  • (72) 返送装置の作動音だけで返送正常とは判断しません。汚泥が実際に移送されていることを確認します。
  • (73) 「SVIが高いので原因は必ず糸状性微生物」は誤りです。SVIは沈降性の指標であり、糸状体、粘性、フロック、DO・負荷・栄養等を追加確認します。
  • (74) 「バルキングなので空気量を最大にする」も誤りです。低DOが原因かを確認してから、対象方式の条件に沿って必要な操作を選びます。
  • (75) 「流量が1.5倍なら有機負荷も必ず1.5倍」は誤りです。有機負荷は濃度と流量の双方で評価します。
  • (76) 流入BOD濃度が低くても、時間ピークによる水量負荷やHRT短縮・固液分離への影響は別に確認します。
  • (77) 長期低負荷・間欠使用を「負荷が少ないので常に良好」と扱いません。方式と生物処理状態、再使用時の変化を確認します。

出典・参考(2026-09-01確認)

※異常所見は外観・単一測定値だけで原因を一般化しません。運転値や調整量は処理方式・型式・負荷・使用状況に応じて維持管理要領書等で確認します。

異常の診断と対策に関する問題