活性汚泥の主要生物群

最終更新日: 2026-09-05

活性汚泥の主要生物群

(1) 活性汚泥の生物相は、細菌・菌類・原生動物・微小後生動物など複数の生物群から成ります。本項目では、生物を一種ずつ暗記するのではなく、各群の分類上の位置・代表例・処理上の役割を比較します。

細菌

(2) 活性汚泥で汚水中の有機物を分解する中心的な生物群は細菌です。細菌が増殖・集合して形成するフロックは、生物反応と固液分離の基盤になります。

(3) 細菌には有機物を利用する従属栄養細菌のほか、硝化に関与する独立栄養性の微生物など異なる代謝を持つ群が含まれます。細菌全体を一つの代謝だけで説明しません。

菌類

(4) 菌類は細菌とは異なる真核生物で、排水中の有機物を利用して成長するものがあります。東京都下水道局も、下水中の汚れを処理する微生物として細菌類と菌類を挙げています。

(5) 日本語では「菌」という語が共通していても、細菌と菌類は同じ分類群ではありません。また、糸状の形を示す微生物がすべて菌類とは限らず、糸状性細菌も存在します。

藻類

(6) 藻類は光合成を行う多様な生物を含む便宜的な呼称で、通常の活性汚泥法で有機物分解の主役として扱う細菌群とは役割が異なります。

(7) 光を利用できる処理系では微細藻類と細菌の相互作用を利用する研究・処理方式があります。一方、通常の暗所を含む浄化槽の生物反応槽へ、その役割をそのまま一般化しません。酸化池等での藻類の役割は処理方式の文脈と合わせて理解します。

(8) 「藻類」という語には歴史的・便宜的な用法があり、真核藻類と、原核生物であるシアノバクテリアを同一の現行分類群として扱いません。

原生動物

(9) 活性汚泥中の原生動物は、細菌等を捕食する生物群集の一部として存在します。原生動物の有無だけで有機物分解の全てを説明せず、細菌による一次的な分解と区別します。

(10) 東京都下水道局の微生物図鑑では、活性汚泥中の代表的な原生動物として、ボルティケラ(ツリガネムシ)、エピスティリス、アスピディスカ、アメーバ類、鞭毛虫類などが紹介されています。

(11) 原生動物の種類・量は処理状態を推測する手掛かりになりますが、一種類を一個体確認しただけでDO・処理水質・汚泥状態まで確定しません。

微小後生動物

(12) 微小後生動物は多細胞の真核生物で、単細胞の原生動物とは区別します。活性汚泥では細菌・原生動物等を摂食するものがみられます。

(13) 代表例として輪虫類や線虫類等があります。東京都下水道局は輪虫類のレカネ、線虫類のディプロガスター等を活性汚泥中の後生動物として紹介しています。

(14) レカネは分散状の細菌類や原生動物等を、ディプロガスターはフロック中の細菌を摂食する例として紹介されており、微小後生動物は活性汚泥内の食物網の上位側の一部として理解できます。

生物相をどう読むか

(15) 「細菌・菌類は有機物利用に直接関与し得る」「原生動物・微小後生動物は細菌等を捕食する」という大きな役割差を押さえつつ、実際の生物相は流入負荷、DO、水温、汚泥齢、処理方式等で変化すると理解します。

(16) 生物相観察は診断の補助情報です。代表生物を覚えても、それだけで処理状態を断定せず、DO、MLSS、SV・SVI、処理水質、運転履歴等と組み合わせます。

出典・参考(2026-09-05確認)

活性汚泥の主要生物群に関する問題