ブロワとは
(1) ブロワ(送風機)は、浄化槽の空気配管へ空気を圧送する機器です。
(2) ブロワから送られた空気は、ばっ気、撹拌、逆洗、エアリフト移送など、適用する浄化槽の空気利用機器へ供給されます。
(3) ブロワは空気を送る側の機器であり、水中で気泡を放出する散気装置そのものではありません。
(4) 環境省の法定検査判定ガイドラインでは、送風機の稼働状況は設備の稼働状況の確認項目です。
(5) 同ガイドラインでは、送風量の不足や故障が処理機能へ影響する状態として扱われています。
駆動方式は一種類ではない
(6) 小型浄化槽用ブロワには、電磁式ダイヤフラム方式を採用した製品があります。
(7) 浄化槽用ブロワには、リニア駆動フリーピストン方式を採用した製品もあります。
(8) したがって、すべての浄化槽用ブロワをダイヤフラム式と決めつけることはできません。
ダイヤフラム式の基本機構
(9) 電磁式ダイヤフラムポンプの一例では、電磁力でロッドを往復させ、ダイヤフラムを変形させてケーシング内の容積を変化させます。
(10) 吸気工程では吸入弁が開いて空気を取り込みます。
(11) 吐出工程では吐出弁が開いて圧縮された空気を送り出します。
(12) 吸入弁と吐出弁は、空気の吸入側と吐出側を切り替えて一方向の送風を成立させます。
(13) ダイヤフラム等の損傷は、風量低下や異常音の原因になり得ます。
(14) ゴム製ダイヤフラム等の寿命は、使用環境や負荷条件の影響を受けます。
吐出量と圧力はセットで読む
(15) ブロワには、型式ごとに定格圧力や使用圧力範囲が定められます。
(16) ブロワには、所定の圧力条件に対応する吐出空気量が仕様として示されます。
(17) 吐出空気量は圧力条件と切り離して読まず、使用圧力と組み合わせて確認します。
(18) メーカー取扱資料では、使用圧力範囲外での運転はポンプへ負荷を与え、寿命を低下させる原因になり得るとされています。
(19) 定格圧力や吐出空気量は型式によって異なるため、一つのkPa値・L/min値を全浄化槽へ共通適用しません。
(20) 実施設で必要な風量は、認定型式・維持管理要領とブロワの型式仕様で確認します。
(21) 実施設の使用圧力条件は、認定型式・維持管理要領とブロワの型式仕様で確認します。
吸気フィルタ
(22) 吸気フィルタは、ブロワへ吸い込む空気中のほこりや異物を減らし、内部へ入りにくくするための部品です。
(23) フィルタや吸入口の目詰まりは、風量低下の原因になり得ます。
(24) メーカー取扱資料では、フィルタの目詰まりが空気量低下と本体温度の異常上昇につながる場合があるとされています。
(25) 本体温度の異常な上昇は、ダイヤフラム等のゴム部品の寿命を短くする要因になり得ます。
(26) フィルタの清掃・交換時期や方法は、使用環境と機種の取扱説明書に従って確認します。
異音・振動・過熱
(27) 環境省ガイドラインでは、送風機の設置状況における騒音・振動の発生は確認対象です。
(28) 通常と異なる大きな音や振動を、送風している証拠として正常扱いしてはいけません。
(29) 異常な高温を、連続運転するブロワだから当然の状態として放置してはいけません。
(30) 直射日光、通風不良、囲いによる放熱阻害などは、本体温度の上昇要因になり得ます。
(31) 不適切な据付けや振動の増幅は、騒音・振動や部品への負担につながり得ます。
ブロワ本体と下流側を切り分ける
(32) 接続ホースの外れ・破損や空気配管の漏れがあれば、ブロワが動いていても必要な空気が槽へ届かないことがあります。
(33) ブロワ本体から空気が出ていても、空気配管や散気装置が閉塞していれば槽内のばっ気が不足することがあります。
(34) 風量不足を診断するときは、ブロワ本体が動作していることだけで下流側の異常を否定しません。
(35) 風量不足時は、吸気フィルタや吸入口の状態を確認します。
(36) 風量不足時は、接続部や空気配管の外れ・漏れを確認します。
(37) 風量不足時は、空気配管や散気装置側の閉塞も確認します。
(38) 散気装置の気泡、酸素移動、左右の空気配分、散気管閉塞の詳細は diffuser-aeration(ST-028)で扱います。
電源・設置安全
(39) 環境省の利用者向けQ&Aでは、浄化槽のブロワ電源をむやみに切らないよう案内されています。
(40) 環境省の検査資料では、送風機の設置状況に関してアースの確認も含まれます。
(41) ただし、構造上アースを必要としないブロワもあります。
(42) 実際に、二重絶縁構造によりアース工事不要とされる浄化槽用ブロワ製品があります。
(43) 浸水や電気部への水の侵入は、漏電・感電等の危険につながり得ます。
(44) 運転後のブロワ本体は温度が上がることがあり、点検時にはやけどにも注意します。
(45) 分解修理、電気工事、ダイヤフラム・弁等の部品交換手順は、メーカー資料とMA / safety 側の責務です。
機種依存の機能
(46) 浄化槽用ブロワには、ばっ気側と逆洗側をタイマー等で切り替える機種・構成もあります。
(47) 逆洗用吐出口や空気切替制御の有無・構成は、機種によって異なります。
(48) 逆洗の時刻・回数・時間を、全ブロワ共通の設定にはできません。
(49) 逆洗や空気切替の設定は、認定型式・維持管理要領・ブロワ取扱説明書で確認します。
JOK-MA-022 ブロワの点検・調整
(50) JOK-MA-022では、ブロワの稼働、送風量・圧力、吸気側、駆動部、異音・振動・過熱、接続部・空気配管をつないで点検し、必要な空気が実際に対象槽へ供給されているかを確認します。
(51) ブロワの運転音や表示だけで正常とは判断せず、対象型式で確認できる吐出状態と、槽内のばっ気・撹拌等の実際の状態を照合します。
(52) 送風能力を確認するときは、風量だけ、圧力だけの一項目で決めず、対象型式の仕様・使用圧力条件と現場の送風状態を組み合わせて判断します。
(53) 風量低下時は、吸気フィルタ・吸入口、ブロワ本体、接続ホース・空気配管の漏れ、下流側の閉塞を順に切り分けます。ブロワ本体を交換すれば必ず解決すると決めつけません。
(54) ダイヤフラム式の機種では、ダイヤフラム等の劣化・損傷を風量低下や異音の原因候補として確認します。ただし、他方式のブロワへダイヤフラム点検を一律適用しません。
(55) ルーツ式などベルト駆動を採用する機種では、ベルトを点検対象から外さず、外観、緩み・張り、摩耗等の判断を対象機種の取扱資料に従って行います。ベルトを持たないブロワにこの点検を一律適用しません。
(56) ベルト、プーリーその他の回転部へ触れる必要がある点検・清掃・調整では、運転中に手を入れず、動力を遮断して不意の起動を防いでから作業します。
(57) 異音、振動、異常な過熱がある場合は、送風しているから正常とはせず、据付け、通風、フィルタ、負荷、駆動部、接続部等を確認して原因候補を切り分けます。
(58) フィルタ清掃、接続修正、設定調整、部品対応等を行った後は、送風状態、圧力・風量に関する確認項目、異音・振動・温度、槽内側のばっ気・撹拌等を再確認し、処置の結果を記録します。
(59) 送風量、圧力、フィルタ清掃周期、ベルトやダイヤフラム等の点検・交換時期は機種・負荷・使用環境で異なるため、全設備共通の一律値として扱いません。
試験でのひっかけ
- ブロワと散気装置を同じ機器としない。
- 「ダイヤフラム式が代表的」から「全ブロワがダイヤフラム式」と一般化しない。
- 吐出空気量だけを見て、圧力条件を無視しない。
- フィルタが詰まるほど空気がきれいになり、風量が増えるとは考えない。
- ブロワが動いているだけで、配管や散気装置の閉塞を否定しない。
- 異音・振動・過熱を正常運転の証拠としない。
- ベルト点検をベルト非搭載機へ一律適用しない。
- アース要否、風量、圧力、逆洗設定を全機種共通にしない。
出典・参考
2026-09-01確認。
- 環境省「浄化槽法定検査判定ガイドラインについて」:送風機の稼働、送風量不足、騒音・振動、設置・空気配管等
- https://www.env.go.jp/hourei/11/000239.html
- 環境省「合併処理浄化槽設置整備事業の推進体制の強化について」:ブロワーの防振、固定、アース、漏電等の施工確認
- https://www.env.go.jp/hourei/11/000054.html
- 環境省「浄化槽Q&A」:ブロアの電源を切らない旨の利用者向け注意
- https://www.env.go.jp/recycle/jokaso/publicity/qa/answer.html
- 厚生労働省「労働安全衛生規則」:原動機、回転軸、プーリー、ベルト等による危険防止、動力遮断装置
- https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74003000&dataType=0&pageNo=3
- 株式会社テクノ高槻「ダイヤフラムポンプの基礎知識」:電磁式ダイヤフラム方式、吸入弁・吐出弁、駆動原理
- https://takatsuki.co.jp/hiblow-site/diaphrampump/
- 株式会社テクノ高槻「HIBLOW総合カタログ/取扱説明書」:フィルタ目詰まり、風量低下、異常温度、ダイヤフラム、異常音、使用圧力
- https://www.takatsuki.co.jp/wp-content/uploads/blower_catalog_14-2.pdf
- https://www.takatsuki.co.jp/wp-content/uploads/KA08009001-01A-DUO-U_202405.pdf
- 株式会社テクノ高槻「XPシリーズ」「FPシリーズ」:浄化槽用ブロワの風量差、二重絶縁・アース不要の製品例
- https://www.takatsuki.co.jp/products/prd_out/xp/
- https://www.takatsuki.co.jp/products/successormodel/fp/
- 日東工器株式会社「メドーブロワ」:フリーピストン方式の製品例、定格圧力・吐出空気量
- https://www.nitto-kohki.co.jp/prd/blower/
- 新明和工業「4葉ヘリカルロータ搭載 ヘリカルX」:Vベルト駆動を採用するブロワ製品例
- https://www.shinmaywa.co.jp/pump/helicalx/
※定格圧力、吐出空気量、消費電力、使用温度、フィルタ清掃周期、ベルト・ダイヤフラム等の点検・交換時期、逆洗設定等は機種ごとに異なるため、実施設では認定型式・維持管理要領とブロワの取扱説明書を確認します。