エアリフトポンプ

最終更新日: 2026-08-31

エアリフトポンプとは

(1) エアリフトポンプは、揚水管内へ空気を導入し、気液混相流を上昇させて液体や汚泥を移送する装置です。

(2) エアリフトでは、揚水管の水中側へ圧縮空気を導入します。

(3) 空気を導入した揚水管内では、水と気泡が混じった気液混相流が形成されます。

(4) 気泡を含む揚水管内の混相流は、周囲の液体より見かけ密度が小さくなるため、浮力・静水圧差によって上昇流が生じます。

(5) エアリフトポンプは、羽根車を液中で回して直接液体へ機械的仕事を与える渦巻ポンプとは揚水原理が異なります。

浄化槽での用途

(6) 浄化槽では、エアリフトポンプを汚泥返送装置に用いる構成があります。

(7) 浄化槽では、エアリフトポンプを汚泥移送装置に用いる構成があります。

(8) 水処理設備では、エアリフトを内部循環に用いる構成もあります。

(9) エアリフトポンプは液体・汚泥を移送する装置であり、それ自体が生物処理槽ではありません。

(10) 汚泥返送・汚泥移送・内部循環は、主処理水の前向きな流れとは別の補助流として設けられることがあります。

ブロワ・散気装置との違い

(11) エアリフトの駆動空気は、ブロワ等の送風機から供給されます。

(12) ブロワは空気を圧送する機器であり、エアリフトポンプの揚水管そのものではありません。

(13) エアリフトへ送る空気は揚水・移送のために用いられ、好気性処理への酸素供給だけを目的とする散気とは役割が異なります。

(14) 同じブロワから、ばっ気用とエアリフト用へ空気を分配する機種・構成があります。

(15) ばっ気用とエアリフト用が空気源を共有する場合、空気配分の変更は両方の作動状態へ影響することがあります。

空気量と揚水量

(16) エアリフトへ供給する空気量は、揚水・移送状態に影響します。

(17) 空気量が不足すると、必要な揚水量・移送量を得られないことがあります。

(18) 空気量を増やせば揚水量が常に同じ割合で増え続ける、という単純な比例関係ではありません。

(19) 揚水特性は空気量だけでは決まりません。

(20) 実施設では、設定空気量だけでなく実際の移送量や水位変化等を確認して作動状態を判断します。

浸漬率・水位・揚程

(21) 浸漬率(submergence ratio)は、揚水管の空気吹込部がどの程度水中に没しているかを表す、エアリフト性能に関係する条件です。

(22) エアリフトポンプの揚水特性は浸漬率の影響を受けます。

(23) 槽内水位が変わると、空気吹込部の浸漬条件も変化することがあります。

(24) 吐出口まで持ち上げる高さ、すなわち揚程も、得られる揚水量に影響します。

(25) 同じ空気条件でも、必要な揚程が大きくなれば同じ揚水量を必ず維持できるとは限りません。

(26) 浸漬率・吹込深さ・揚程を、すべての浄化槽用エアリフトに共通する固定値として扱いません。

管径・長さ・液性

(27) 揚水管径は、管内の気液二相流と揚水特性に影響する条件です。

(28) 揚水管長も、圧力損失や揚水特性に関係します。

(29) 汚泥濃度、粘性、固形物の状態など移送液の性状も、移送状態に影響することがあります。

(30) したがって、L/min等の一つの揚水量を全型式へ共通適用できません。

閉塞・空気配管・異常

(31) 環境省の法定検査判定ガイドラインでは、汚泥返送装置・汚泥移送装置にエアリフトポンプを用いる場合、関連する空気配管も固定状況の確認対象に含まれます。

(32) 同ガイドラインでは、汚泥返送管・汚泥移送管内の汚泥堆積による閉塞も確認対象です。

(33) 汚泥返送装置・汚泥移送装置の調整不良や調整不能は、処理機能へ影響し得る異常として扱われます。

(34) エアリフト本体の管に異常がなくても、空気配管の外れ・漏れ・閉塞等があれば必要な駆動空気が届かず、移送不良になることがあります。

(35) 揚水管・汚泥移送管の閉塞や堆積も、移送量低下や停止の原因になり得ます。

(36) ブロワが運転していることだけでは、エアリフトの移送量が正常であることの証明にはなりません。

実際の移送量を確認する

(37) 法定検査では、汚泥返送装置・汚泥移送装置の稼働状況が確認対象です。

(38) 汚泥返送・移送不良は、生物処理機能の低下につながり得ます。

(39) 循環装置として用いる場合も、循環装置の稼働・調整状態を確認します。

(40) 揚水管内に気泡が見えるだけで、必要な移送量が得られていると判断しません。

(41) 実施設では、移送先での流出状態、移送量、水位変化、汚泥移送状態等から実際の作動を確認します。

型式依存の条件

(42) エアリフトが汚泥返送、汚泥移送、循環等のどの用途に使われるかは、認定型式・処理フローで確認します。

(43) エアリフトへ供給する空気量・バルブ設定は、認定型式・維持管理要領で確認します。

(44) 揚水管径、管長、空気吹込位置、吐出口高さは、実機仕様・認定図書で確認します。

(45) 必要な返送量・移送量・循環量は、対象方式・認定型式の維持管理要領で確認します。

(46) 空気量、揚水量、浸漬率、揚程、バルブ開度を全浄化槽共通の固定値にはしません。

異常時の読み方

(47) 移送量が少ない場合は、エアリフトへの空気供給量・空気配管を確認します。

(48) 移送量が少ない場合は、揚水管・汚泥移送管の閉塞や堆積も確認します。

(49) 移送量が少ない場合は、槽内水位や空気吹込部の浸漬条件も確認します。

(50) 移送量が少ない場合は、吐出口高さや移送先の水位条件も確認します。

(51) 必要量を超える返送・移送・循環も、処理方式によっては適正運転とは限りません。

(52) 揚水管の取り外し、閉塞除去、バルブ調整、槽内作業等の具体的手順は、型式資料とMA / safety 側で扱います。

試験でのひっかけ

  • エアリフトポンプを羽根車式水中ポンプと同じ原理としない。
  • ブロワが動いているだけで、エアリフト移送量も正常と決めつけない。
  • 空気量を増やせば揚水量が必ず直線的に増えるとは考えない。
  • 揚水量を空気量だけで判断し、浸漬率・水位・揚程・管径・閉塞を無視しない。
  • 汚泥返送・移送・循環の設定値を全型式共通にしない。

責務境界

  • ブロワ本体、吐出圧力・風量、フィルタ → blower(ST-027)
  • 散気装置、酸素移動、ばっ気水流 → diffuser-aeration(ST-028)
  • エアリフトの揚水原理、汚泥返送・移送・循環、空気量・浸漬・揚程 → 本項目
  • 水中ポンプの羽根車、揚程・吐出量、空運転 → submersible-pump(ST-030)
  • 空気配管、バルブ、逆止弁等 → pipes-valves(ST-031)
  • 実機の閉塞除去、調整、槽内作業 → MA / safety

出典・参考

2026-08-31確認。

※エアリフトの空気量、揚水量、浸漬率、揚程、管径・長さ等は用途・認定型式・設備条件で異なるため、実施設では認定図書・維持管理要領・機器資料を確認します。

エアリフトポンプに関する問題