特殊・コンパクト型浄化槽の清掃
性能評価型やコンパクト型では、一般的な単位装置名だけでは清掃孔、引抜き経路、逆洗・移送手順、担体等の保護方法まで決まりません。法令・公的ガイドラインの一般則を押さえたうえで、実際の認定構造と対象型式の維持管理要領書に従って清掃します。
単位装置名だけで実作業を決めない
- (1) 環境省の維持管理ガイドラインは、告示区分第13で認定された浄化槽等について、採用された処理原理と相当する単位装置を確認して維持管理する考え方を示しています。
- (2) 同ガイドラインは、固液分離槽を前置する方式では名称上の嫌気ろ床槽第一室が脱窒ろ床槽第二室相当となる例を示しており、単位装置名だけで清掃上の役割を決められないことが分かります。
- (3) 特殊・コンパクト型では清掃孔、ホース挿入位置、前作業、逆洗、汚泥移送及び復旧操作が型式ごとに定められるため、対象型式の維持管理要領書を確認します。
- (4) メーカー要領書に記載された清掃孔番号、水位、逆洗条件、担体量等の数値や操作は、その型式の仕様として扱い、全ての浄化槽へ共通化しません。
担体を「汚泥と一緒に吸うもの」にしない
- (5) クボタKXF型は清掃前に担体反応槽のSSや担体ろ過槽の汚泥を嫌気ろ床槽第一室へ移送し、担体ろ過槽の逆洗・汚泥移送を行う手順を示しています。
- (6) 同KXF型は担体反応槽及び担体ろ過槽の清掃を通常は必要とせず、槽内SSが非常に多く汚泥移送でも減少しない場合に限って所定手順で清掃するよう示しています。
- (7) 同KXF型で担体槽を清掃する場合は所定の汚泥引出し管から槽底部の汚泥を引き出し、担体を引き出さないための網を設けた経路を使用します。
- (8) ダイキアクシスKRN型は担体流動生物ろ過槽及び担体分離槽へバキュームホースを入れて担体を引き抜くことを明確に禁止しています。
- (9) 同KRN型はバキュームで担体を引き抜くと浄化槽が機能しなくなると説明しており、担体は清掃対象汚泥と同じ扱いにはできません。
- (10) 同KRN型は担体槽の開口部に引抜き防止ネットと注意表示を設けています。
- (11) 同KRN型は嫌気ろ床槽第一室・第二室について、それぞれ指定された清掃孔からバキュームホースを入れる手順を示しています。
ろ材・膜等も型式固有の処理媒体として扱う
- (12) ろ材、担体その他の処理媒体は処理機能を構成する部材であるため、汚泥除去のために任意に取り外したり吸い出したりする共通清掃手順とはしません。
- (13) 環境省は膜分離型合併処理浄化槽を独立した維持管理ガイドラインの対象としており、担体流動型等の操作をそのまま膜処理型へ流用する前提にはしていません。
- (14) 膜処理型で膜・膜モジュール等を扱う具体的な洗浄方法や保護方法は、対象施設の認定構造、維持管理ガイドライン及びメーカー要領書で確認します。
清掃後は型式固有の通常運転へ戻す
- (15) 清掃後は張り水だけで完了とせず、ブロワ、循環・移送装置、逆洗設定、薬剤筒等を対象型式で定められた通常運転状態へ復旧します。
- (16) KXF型やKRN型の手順は型式差を学ぶための具体例であり、その清掃孔、順序、禁止操作以外の詳細を別型式へそのまま適用しません。
試験での注意
「コンパクト型なら全槽を一律に全量引抜きする」「担体は汚泥と一緒に吸い出してよい」「単位装置名が同じなら清掃孔や順序も同じ」「膜処理型にも担体流動型の洗浄操作をそのまま使う」といった判断を避けます。特殊型ほど、処理原理と認定構造を確認して対象型式の要領書へ落とし込むことが重要です。
嫌気ろ床槽の一般則は anaerobic-filter-cleaning、生物反応槽・担体の一般則は bioreactor-cleaning、張り水・運転復旧は refilling-recommissioning で扱います。
出典・参考
2026-08-31確認。
- 環境省「窒素除去型小型合併処理浄化槽、膜処理型合併処理浄化槽、中・大型合併処理浄化槽、単独処理浄化槽の維持管理ガイドラインについて」: https://www.env.go.jp/hourei/11/000288.html
- クボタ「KXF型 維持管理要領書」9-2「清掃の作業基準」: https://www.kubota.co.jp/product/johkasou/products/small/kxf/pdf/KXF.pdf
- ダイキアクシス「KRN型 維持管理要領書」8「清掃のポイント」・20「清掃作業」: https://www.daiki-axis.com/official/wp-content/uploads/2021/02/KRNa002a.pdf