長時間ばっ気方式とは
(2) 長時間ばっ気方式は、標準活性汚泥方式より低いBOD-MLSS負荷で運転する方向の方式です。
(3) 長時間ばっ気方式では、標準活性汚泥方式より活性汚泥を処理系内に長く保持する方向で運転します。
(4) 活性汚泥を処理系内に長く保持することは、SRTを長くすることに対応します。
(5) 「長時間ばっ気」を、単に送風機の運転時間だけが長い方式という意味には限定しません。
標準的な連続流の構成
(6) 標準的な連続流の長時間ばっ気方式では、ばっ気槽で活性汚泥による生物処理を行います。
(7) 標準的な連続流の長時間ばっ気方式では、後段の沈殿槽で活性汚泥を処理水から固液分離します。
(8) 沈殿槽で分離した活性汚泥の一部は、返送汚泥としてばっ気槽へ戻します。
(9) 返送汚泥は、ばっ気槽内に必要な活性汚泥を保持するために利用します。
(10) 系内で増加した活性汚泥の一部は、余剰汚泥として系外へ引き抜きます。
(11) 長時間ばっ気方式でも、余剰汚泥の引抜き管理は必要です。
(12) 長時間ばっ気方式を、余剰汚泥が全く発生しない方式とは扱いません。
低負荷を数値で比較する
(13) BOD-MLSS負荷は、ばっ気槽内の活性汚泥量に対して単位時間に与えるBOD負荷の大きさを表す指標です。
(14) BOD-MLSS負荷が低いほど、単位活性汚泥量当たりに与えるBOD負荷は小さくなります。
(15) 環境省掲載の生活排水処理施設構造指針では、長時間ばっ気方式のBOD-MLSS負荷の標準値を標準活性汚泥方式より低く設定しています。
(16) 同指針では、長時間ばっ気方式のBOD-MLSS負荷を0.03~0.05 kg-BOD/(kg-MLSS・日)としています。
(17) 同指針では、標準活性汚泥方式のBOD-MLSS負荷を0.2~0.4 kg-BOD/(kg-MLSS・日)としています。
(18) これらのBOD-MLSS負荷値は、同指針の適用対象であった生活排水処理施設に対する標準値です。
(19) 同指針は、環境省掲載ページ上で平成10年10月28日通知により廃止されたと明記されています。
(20) 同指針の数値を、現在の浄化槽認定型式に対する現行の法定設計値として扱いません。
(21) 同指針のBOD-MLSS負荷値を、すべての浄化槽認定型式へ一律適用しません。
SRTと汚泥引抜き
(22) SRTは、活性汚泥などの固形物が処理系内に滞留する平均時間を表す指標です。
(23) 米国環境保護庁の活性汚泥運転資料では、extended aerationを軽い有機物負荷と長いsludge ageを組み合わせる方式として整理しています。
(24) 他の条件が同じなら、余剰汚泥の引抜きを増やすことはSRTを短くする方向に働きます。
(25) 他の条件が同じなら、余剰汚泥の引抜きを減らすことはSRTを長くする方向に働きます。
(26) SRTの適正値を、すべての長時間ばっ気方式に共通する単一の固定日数とはしません。
(27) 実機のSRT管理目標は、適用する設計資料・認定資料・維持管理要領書を確認します。
MLSSと維持管理
(28) MLSSは、ばっ気槽混合液中の浮遊物質濃度です。
(29) 環境省「浄化槽法の運用に伴う留意事項」では、合併処理の長時間ばっ気方式について適正なMLSSをおおむね3,000~6,000 mg/Lとしています。
(30) 同留意事項では、合併処理の標準活性汚泥方式について適正なMLSSをおおむね1,000~3,000 mg/Lとしています。
(31) これらのMLSS範囲は、同留意事項が示す「おおむね」の目安です。
(32) このMLSS範囲を、すべての認定型式・運転条件に共通する固定値とは扱いません。
(33) 実機のMLSS管理目標は、適用する設計資料・認定資料・維持管理要領書を確認します。
(34) 実機の返送汚泥量は、適用する設計資料・認定資料・維持管理要領書を確認します。
(35) 実機の余剰汚泥引抜き量は、適用する設計資料・認定資料・維持管理要領書を確認します。
標準活性汚泥方式との比較
(36) 長時間ばっ気方式と標準活性汚泥方式はいずれも活性汚泥法です。
(37) 両方式は、代表的なBOD-MLSS負荷の運転領域が異なります。
(38) 両方式は、活性汚泥を保持する時間の運転領域が異なります。
(39) 長時間ばっ気方式を、返送汚泥を行わない方式とは定義しません。
(40) 長時間ばっ気方式を、余剰汚泥が発生しない方式とは定義しません。
(41) 酸化溝方式を、長時間ばっ気方式と同一の槽構造とは扱いません。
(42) 酸化溝方式の循環水路・ばっ気・撹拌などの固有構造はJOK-ST-014で扱います。
試験でのひっかけ
- 「長時間ばっ気」を、送風機を長く回すだけの方式と考えない。
- 標準活性汚泥方式より低いBOD-MLSS負荷と長いSRTという比較関係を押さえる。
- 長SRTだから余剰汚泥がゼロになる、としない。
- 返送汚泥と余剰汚泥を混同しない。
- 3,000~6,000 mg/Lなどの値は、出典上の対象と「おおむね」という位置づけを確認する。
- 廃止済み指針のBOD-MLSS負荷値を、現在の認定型式に対する法定固定値として覚えない。
- 長時間ばっ気方式と酸化溝方式を同一構造として扱わない。
責務境界
- 活性汚泥法全般のばっ気槽・沈殿槽・返送/余剰汚泥・MLSS・SRTの定義 →
activated-sludge-process - 標準活性汚泥方式固有のフロー・負荷・長時間ばっ気方式との比較 → JOK-ST-012
- 回分式活性汚泥方式のサイクル → JOK-ST-013
- 酸化溝方式の循環水路・ばっ気・撹拌 → JOK-ST-014
- MLSS、SV、SVI、DO等の測定と具体的な調整操作 → MA/WQ側
出典・参考
2026-08-30確認。
- 環境省「浄化槽法の運用に伴う留意事項について」https://www.env.go.jp/hourei/11/000243.html
- 環境省「ごみ処理施設構造指針の改正及び生活排水処理施設構造指針の策定について」https://www.env.go.jp/hourei/11/000131.html
- 環境省「コミニティ・プラント構造指針の改訂について」https://www.env.go.jp/hourei/11/000139.html
- U.S. EPA “Orientation to Wastewater Treatment Operation: Training Manual” https://nepis.epa.gov/Exe/ZyPURL.cgi?Dockey=9101ZSJW.TXT
※BOD-MLSS負荷の比較値は廃止済み指針の歴史的技術資料として扱い、現行法定値とはしません。MLSSの目安も対象・条件を確認し、全国すべての浄化槽へ一律に一般化していません。