流量調整槽

最終更新日: 2026-09-08

流量調整槽とは

(1) 流量調整槽は、時間的に変動する流入汚水を一時的に貯留し、後段へ移送する水量の変動を緩和するための槽です。

(2) 流入が多い時間帯には、流入量の一部を槽内に貯留してピークを受け止めます。

(3) 流量調整によって、後段の生物処理槽や沈殿槽へ急激な流量変動を与えにくくします。

(4) 流量調整槽の主要目的は水量変動の調整であり、有機物の生物分解や最終的な固液分離そのものを主目的とする槽ではありません。

移送ポンプと計量調整

(5) 流量調整槽では、移送ポンプ等によって槽内水を後段へ送る構成があります。

(6) 計量調整移送装置等は、後段へ送る移送水量を調整・確認するために用いられます。

(7) 維持管理では、ポンプ作動水位や計量装置を調節し、汚水を安定して移送できる状態を保ちます。

(8) 流量調整装置では、実際の移送水量を測定して状態を確認します。

(9) 測定した移送水量をもとに、流量調整比が適正に保持されるよう調整します。

(10) 流入ピーク時に常にポンプの最大能力でそのまま後段へ送る運転は、流量変動をならすという流量調整の目的と一致しません。

実流入量との関係

(11) 法定検査の基礎情報として、計画流入汚水量を把握することが望ましいとされています。

(12) 同じく法定検査の基礎情報として、実流入汚水量を把握することが望ましいとされています。

(13) 人槽だけでなく、実使用人員も基礎情報として把握する対象です。

(14) 移送水量の設定は、設計・型式資料だけでなく、実際の流入状況や水位変動を踏まえて適否を判断します。

(15) 処理対象人員だけを見て、実流入量や運転状況を確認せずに移送水量を固定する考え方は避けます。

撹拌の役割

(16) 流量調整槽の撹拌は、槽内の汚水を偏りなく混合し、沈降・堆積やスカム生成を生じにくくするために重要です。

(17) 撹拌水流が不良になると、汚泥の堆積が生じることがあります。

(18) 撹拌水流が不良になると、スカムの生成が問題になることがあります。

(19) 流量調整槽の撹拌を、好気性生物処理槽のばっ気と同じ目的だけで理解しません。

水位と水流の点検

(20) 法定検査では、流量調整槽の水位と水流の状況が確認対象です。

(21) レベルスイッチの設定不良や異物付着による誤作動は、流量調整槽の水位異常の原因になり得ます。

(22) 移送不足等によって槽内水位が著しく上昇すると、流量調整機能や後段処理へ影響するおそれがあります。

(23) 撹拌装置の不良は、流量調整槽の水流・汚泥堆積等の異常につながり得ます。

(24) 計量調整移送装置の調整不良や調整不能も、処理機能へ影響する確認事項です。

流量調整槽と移送装置を混同しない

(25) 流量調整槽は汚水を一時貯留して流量をならす槽であり、間欠定量移送装置は槽内水を一定量ずつ断続的に送るための移送装置です。

(26) 間欠定量移送は流量調整を実現する方法の一つですが、流量調整槽そのものと同義ではありません。

(27) 原水ポンプ槽・放流ポンプ槽の水位制御、交互運転、逆止弁、警報等の詳細は、ポンプ槽の学習項目で扱います。

告示第1292号第六第一号の流量調整槽

以下は、昭和55年建設省告示第1292号第六第一号の回転板接触方式で用いる流量調整槽の構造基準です。第六の他方式で準用される場合は当該読み替え規定を確認し、個別認定型式へ一律に一般化しません。

(28) 流量調整槽から移送する一時間当たりの汚水量は、当該槽に流入する日平均汚水量の24分の1以下とします。

(29) 流量調整槽には、槽内の汚水を撹拌できる装置を設けます。

(30) 処理対象人員が500人以下の場合、流量調整槽の有効水深は1 m以上とします。

(31) 処理対象人員が501人以上の場合、流量調整槽の有効水深は1.5 m以上とします。

(32) 流量調整槽の有効水深を算定するときは、槽底部及び上端から50 cmまでの部分を含めません。

(33) 異常に水位が上昇した場合に、次の槽へ有効に汚水を移送できる構造とします。

(34) 流量調整槽に流入する一日当たりの汚水量を計量し、記録できる装置を設けます。

(35) 流量調整槽から移送する一時間当たりの汚水量を容易に調整し、計量できる装置を設けます。

告示第1292号第七第二号の中間流量調整槽

以下は、第七第二号の凝集分離方式における中間流量調整槽の容量基準です。

(36) 前段に流量調整槽を備える場合、中間流量調整槽の有効容量は日平均汚水量の12分の1以上とします。

(37) 前段に流量調整槽を備える場合、処理対象人員500人を超える部分については日平均汚水量の48分の1以上とします。

(38) 前段に流量調整槽を備えない場合、中間流量調整槽の有効容量は日平均汚水量の24分の5以上とします。

(39) 前段に流量調整槽を備えない場合、処理対象人員500人を超える部分については日平均汚水量の12分の1以上とします。

数値・型式依存の読み方

(40) 流量調整比は、方式名だけから全国共通の単一値へ固定せず、適用される構造・型式・維持管理資料を確認します。

(41) 流量調整槽の有効容量も、古い指針の一つの数値を現在の全認定型式へ一律適用しません。

(42) 過去の公的な構造指針には、対象施設を限定した流量調整比や有効容量等の具体値が示された例があります。

(43) その数値は当該指針の対象施設・設計条件の範囲で読み、現在の全浄化槽に共通する法定固定値とは扱いません。

(44) 実施設の移送水量、流量調整比、ポンプ作動水位、計量方法等は、適用する型式・設計資料・維持管理要領を確認します。

異常時の読み方

(45) 移送水量が過大な場合は、流入ピークを後段へそのまま伝えやすくなり、流量調整の効果が小さくなります。

(46) 移送水量が不足する場合は、槽内に汚水がたまり続けて水位上昇につながるおそれがあります。

(47) 汚泥堆積やスカムが目立つ場合は、撹拌状態、流入状況、移送状態を関連づけて確認します。

(48) 流量調整槽は、流入量、槽内水位、撹拌、移送ポンプ、計量調整装置、実移送水量を一体として評価します。

試験でのひっかけ

  • 流量調整槽は、ピーク流入をそのまま最大流量で後段へ送る槽ではない。
  • 「槽」と「間欠定量移送装置」を同義にしない。
  • 撹拌不良による汚泥堆積・スカムを正常状態としない。
  • 設計人槽だけで移送水量を固定せず、実流入量や水位変動も確認する。
  • 流量調整比、容量、ポンプ作動水位を全型式共通の一律値として暗記しない。
  • 第六第一号の1/24、1 m/1.5 m、50 cm除外、計量・記録条件は当該構造区分の値として読む。
  • 第七第二号は、前段流量調整槽の有無と500人超部分で中間流量調整槽の容量比が変わる。
  • 流量調整槽を生物処理槽や沈殿槽そのものと取り違えない。

責務境界

  • 水量負荷・ピーク・滞留時間の一般論 → hydraulic-load
  • 流入管・流出管・移流部 → inlet-outlet-transfer
  • 間欠定量移送装置の作動原理・個別調整 → intermittent-fixed-transfer
  • 流量調整槽の一時貯留、ピーク緩和、撹拌、水位、移送水量調整 → 本項目
  • 原水ポンプ槽・放流ポンプ槽の交互運転、逆止弁、警報、非常時 → influent-effluent-pump-tank

出典・参考

2026-09-08確認。

※容量、流量調整比、移送水量、ポンプ作動水位等は対象施設・処理方式・型式・実流入条件で異なるため、一律値として採用していません。

流量調整槽に関する問題