酸素要求量の量論
(1) 理論酸素要求量は、有機物の酸化や硝化に必要な酸素量を、反応式と分子量から求めた量です。ばっ気槽の実際の送気量そのものではありません。
反応式から酸素量を求める
量論問題では、まず対象となる反応を確認し、反応係数と分子量を使って必要なO2量へ換算します。
硝化を単純化すると、アンモニウムから硝酸までの酸化は次の総括式で表せます。
NH4+ + 2O2 → NO3- + 2H+ + H2O
窒素14 gに対してO2は64 g必要なので、理論上はアンモニア性窒素1 g-Nの硝化に約4.57 g-O2が対応します。
有機物の酸化では、物質の化学式や問題で与えられたBOD・負荷量に応じて考えます。硝化の4.57という係数を有機物酸化へ流用してはいけません。
理論値と実運転を分ける
実際のばっ気設備では、微生物細胞の合成・内生呼吸、処理水質、槽内DO、酸素移動効率、散気装置の状態などが関係します。そのため、化学量論から求めた酸素量と、必要送風量・実際の消費電力は別の概念です。
試験のひっかけ
- 反応式の係数と分子量を混同しない。
NH4-Nの質量はアンモニウムイオン全体の質量ではなく、窒素としての質量を表す。- 理論酸素量と実際の送風量を同一視しない。
- BOD負荷、窒素負荷、O2量の単位をそろえてから計算する。
出典・参考
- 国立環境研究所「嫌気性処理技術を用いた汚水の省エネルギー浄化」:好気性処理での有機物分解と酸素供給の関係
https://www-cycle.nies.go.jp/magazine/kenkyu/201305.html
- 国立環境研究所「分散型の生活排水対策としての浄化槽」:硝化・脱窒の処理経路
https://www.nies.go.jp/pr/publications/news/26/26-2/26-2-04.html