物理処理
(1) 物理処理は、水中の物質がもつ大きさ、密度、沈降性、浮上性などの物理的な違いを利用して、水と分離する処理です。
(2) スクリーンは、格子や網などの開口を利用して、開口より大きい夾雑物や固形物を捕捉する物理分離です。
(3) 通常のスクリーンでは、開口を通過する溶解性物質を除去できません。
(4) 沈殿は、水中で重力により沈降する固形物を底部側へ分離する物理作用です。
(5) 浮上は、水面へ浮きやすい物質や気泡が付着して浮上した懸濁物を水面側へ集めて分離する物理作用です。
(6) ろ過は、水をろ材や多孔質の層などに通し、主として懸濁・粒子状物質を捕捉して分離する物理作用です。
(7) 通常の粒子ろ過だけで、水中に溶けている有機物を微生物分解したことにはなりません。
(8) 凝集剤を加えて微細粒子をフロック化する操作は化学・物理化学作用を含み、その後にフロックを沈殿又は浮上で分離する機構とは区別します。
(9) 物理処理は物質を分離する操作であり、微生物が有機物を分解する生物処理とは原理が異なります。
分離対象の見分け方
スクリーン、沈殿、浮上、ろ過はすべて物理分離ですが、利用する物性が異なります。試験では設備名だけでなく、「何を利用して何を分けるか」を対応づけます。
- 大きな夾雑物を開口で止める → スクリーン
- 重力で沈みやすい固形物を底部へ分ける → 沈殿
- 油分や気泡付着粒子などを水面側へ分ける → 浮上
- ろ材等を通して粒子を捕捉する → ろ過
他タグとの責務境界
physical-treatment: 物理処理という概念と、代表的な分離機構・分離対象の対応を扱う。- JOK-ST-021
screening-comminution: スクリーンの粗目・細目、目幅、し渣、閉塞、清掃等の設備詳細を扱う。 - JOK-ST-003 / 023: 沈殿分離槽・沈殿槽の構造、水面積負荷、汚泥界面、短絡、返送等を扱う。
- 個別ろ過方式・ろ材・逆洗・膜分離: STの方式・設備別coverageで扱う。
- JOK-OV-013: 中和、凝集、酸化還元、消毒等の化学作用を扱う。
- JOK-OV-014以降: 微生物による有機物分解等の生物作用を扱う。
覚え方・ひっかけ
- スクリーンは「大きさ」、沈殿・浮上は「上下どちらへ分離するか」、ろ過は「ろ材で粒子を捕捉するか」を見る。
- 沈殿槽で分離することと、凝集剤でフロックを作ることは同じ作用ではない。
- 「物理処理だけで溶解性BODを分解する」は誤り。分離と分解を区別する。
出典・参考(2026-08-28確認)
- 環境省「Pollution Control Technology Transfer Manual / Outline of Wastewater Treatment Technologies」
- https://www.env.go.jp/earth/coop/coop/document/15-pdf/technology_transfer_manual.pdf
- 排水処理を物理・化学・物理化学・生物処理等に分類し、物理処理の代表としてscreening、filtering、settling、flotation等を整理していることを確認。
- 環境省「ごみ処理施設構造指針の改正及び生活排水処理施設構造指針の策定について」
- https://www.env.go.jp/hourei/11/000131.html
- 生活排水処理工程にスクリーン設備・沈殿槽等を配置し、スクリーンの有効間隔等を規定していることを確認。
- 環境省 浄化槽Q&A「清掃について」
- https://www.env.go.jp/recycle/jokaso/publicity/qa/answer.html
- 浄化槽で沈殿・浮上を物理作用として明示していることを確認。
- 環境省 中央環境審議会水環境部会総量規制専門委員会(第12回)議事録
- https://www.env.go.jp/council/09water/y097-12a.html
- 加圧浮上で微細気泡により懸濁物を浮上させ、SS・油分除去にも用いること、凝集剤を併用する場合があることを確認。