試料採取と保存とは
(1) 水質測定の試料採取と保存では、測定しようとする場所・時点の水質をできるだけ変化させずに測定へつなぐことが基本であり、採水点、採り方、容器、保存、運搬、分析開始までの時間を測定項目に応じて管理する。
(2) 採水点と採水時期は、何の水質を評価するかという測定目的に対応させ、対象とする処理工程や放流水の状態を適切に表す試料を採る必要がある。
(3) 採水日時、採水点などの採取条件を記録し、測定結果がどの試料・条件に対応するか追跡できるようにする。
採水方法と保存条件は項目ごとに異なる
(4) 試料の採水位置、試験までの時間、保存・運搬条件は測定項目ごとに異なるため、すべての水質項目を同じ採水点・同じ保存方法で扱うことはできない。
(5) 容器や保存方法は、測定対象の変質、汚染、揮散、吸着などによる濃度変化を避けられるよう、採用する公定法・試験方法で定められた条件に従って選ぶ。
浄化槽の法定検査で押さえる採水条件
(6) 環境省の第7条・第11条法定検査の検査方法通知では、試料の採取は流水状態で行うことが留意事項として示されている。
残留塩素
(7) 法定検査の残留塩素は、消毒槽等の出口における放流水を採取する。
(8) 法定検査の残留塩素は、採取後直ちに試験する。
BOD
(9) 法定検査のBODは、消毒槽等に入る直前の処理水を採取する。
(10) 法定検査のBOD試料は、10℃以下の状態で運搬することが望ましい。
(11) 法定検査のBOD試料は、採取後9時間以内に試験することが望ましい。
なぜ採水条件をそろえるのか
(12) 採水後に試料の性状が変化すると、分析操作が正確でも採水時点の水質を正しく表さない結果になり得るため、採水・保存・運搬は分析そのものと同じく測定品質を左右する。
(13) 経時変化を比較する場合は、測定目的に照らして採水点・時期・保存条件などを可能な範囲でそろえ、条件差による変動を水質変化と取り違えないようにする。
試験での見分け方
- 「残留塩素とBODは、同じ最終放流水を採って同じ保存方法で測ればよい」→ 誤り。法定検査では採水位置と試験までの扱いが異なる。
- 「残留塩素は冷蔵して後日まとめて測ればよい」→ 誤り。法定検査では消毒槽等出口で採取し、直ちに試験する。
- 「BODは微生物反応を見るので、運搬中も室温以上に保温する」→ 誤り。法定検査通知では10℃以下で運搬し、9時間以内の試験が望ましい。
- 「採水点や保存条件は分析値に影響しない」→ 誤り。水質測定は試料の採取段階から品質管理が必要である。
出典・参考(2026-08-30確認)
- 環境省 浄化槽法第七条及び第一一条に基づく浄化槽の水質に関する検査の検査内容及び方法、検査票、検査結果の判定等について(流水状態での試料採取、残留塩素・BODの採水位置、BOD試料の運搬・試験時間)
- 環境省 浄化槽法第七条及び第一一条に基づく浄化槽の水質に関する検査の項目、方法その他必要な事項について(第7条・第11条検査の水質検査項目)
- 環境省 水質調査方法(採水地点・時期の設定、採水時の記録、直ちに分析できない場合の規格に基づく保存)
※10℃以下・9時間以内は、上記の浄化槽法定検査通知におけるBOD試料の取扱いとして示された「望ましい」条件であり、すべての水質項目に共通する保存条件ではない。採水時の詳細な感染防護・保護具は安全衛生側の学習単位で扱う。