浄化槽の処理性能
浄化槽の処理性能は、設計・認定上の性能、浄化槽法上の放流水質基準、実際の法定検査・維持管理で観測される水質を分けて理解します。BOD濃度だけ、除去率だけ、又は型式名称だけで実施設の適否を一義的に決めません。
通常型のBOD性能
(1) 現行制度で新設される通常型の合併処理浄化槽については、基本となるBOD性能として放流水BOD 20 mg/L以下かつBOD除去率90%以上が用いられます。濃度と除去率はどちらか一方だけで置き換えず、両方を区別して読みます。
(2) BOD除去率は、流入側のBODと放流側のBODの差を流入側BODで割って百分率で表す考え方です。流入BODが異なれば、同じ放流水BODでも除去率は同じとは限りません。
(3) 浄化槽法の放流水質基準が創設された際、みなし浄化槽や施行前に既に設置されていた浄化槽等には適用除外が設けられました。したがって「現在存在するすべての浄化槽に、設置時期・制度区分を問わず同じ20 mg/L・90%基準が直接適用される」と一般化しません。
高度処理型
(4) 高度処理型では、通常型のBOD性能に加えて全窒素・全りんを低減する性能を持つものや、BODをさらに低くする性能を持つものがあります。環境省資料では代表例として、窒素除去型でT-N 20 mg/L以下、窒素・りん除去型でT-N 20 mg/L以下かつT-P 1 mg/L以下、BOD高度除去型でBOD 5 mg/L以下・除去率97%以上等が示されています。
(5) ただし、すべての高度処理型が同じT-N・T-P・BOD性能を持つわけではありません。対象型式がどの性能区分で認定され、どの性能目標を持つかを認定図書・型式資料で確認します。
設計性能と実際の水質を分ける
(6) 型式の処理性能は、所定の条件で達成すべき設計・認定上の性能を示します。実施設の放流水質は、流入負荷、水量変動、温度、保守点検、清掃、機器状態、汚泥状態等の影響を受けるため、認定性能の表示だけで現在の実水質が正常と断定しません。
(7) 反対に、ある時点の放流水BODが型式の表示値より低かったからといって、その一回の測定結果で浄化槽の認定性能区分そのものが変更されるわけでもありません。型式性能と実測結果を別レイヤーとして扱います。
(8) BODが良好でも、消毒、窒素・りん、SS、設備異常、維持管理記録等の別項目まで自動的に正常とは限りません。処理性能の確認では、対象方式・法定検査・維持管理上必要な他項目も合わせて判断します。
試験での見分け方
- 「放流水BOD 20 mg/L以下なら除去率は確認不要」→ 誤り。通常型の基本性能では濃度と除去率を区別する。
- 「BOD除去率90%以上なら放流水BODはいくらでもよい」→ 誤り。
- 「既設・みなし浄化槽も設置時期を問わず全て同じ放流水質基準の直接適用対象」→ 誤り。適用範囲を確認する。
- 「高度処理型はすべてT-N、T-P、BODが同じ値」→ 誤り。性能区分・型式を確認する。
- 「認定性能が良いので実際の放流水も測らなくてよい」→ 誤り。設計・認定性能と実施設の状態は別に確認する。
出典・参考(2026-09-05確認)
- 環境省「浄化槽法の一部を改正する法律の施行について」
- 放流水BOD 20 mg/L以下、BOD除去率90%以上という基準と、みなし浄化槽・改正施行前既設浄化槽等の適用除外を確認。
- https://www.env.go.jp/hourei/11/000242.html
- 環境省「浄化槽の構造基準と処理性能」
- 構造例示型・性能評価型と、通常型・高度処理型の代表的処理性能を確認。
- https://www.env.go.jp/recycle/jokaso/publicity/pamph/pdf/wts-jp_11.pdf
- 環境省「公共浄化槽整備・運営マニュアル」5.4 採用する浄化槽の選定
- 通常型のBOD性能、高度処理型のT-N・T-P・BOD高度除去性能の代表区分を確認。
- https://www.env.go.jp/recycle/jokaso/manual/report/sokusin/pdf/kokyo_seibiune_manual.pdf