BOD除去率とは
(1) BOD除去率は、処理前後のBODを比較し、流入側のBODに対してどの割合が低下したかを百分率で表す指標です。
(2) 流入BOD濃度を \(C_{in}\)、放流・処理水BOD濃度を \(C_{out}\) とすると、濃度ベースのBOD除去率は \((C_{in}-C_{out})/C_{in}\times100\)(%) で求めます。
(3) 分母は流入BODです。放流BODを分母にしたり、単に濃度差だけを百分率としたりしません。
(4) 例えば流入200 mg/L、放流20 mg/Lなら、BOD除去率は \((200-20)/200\times100=90\)% です。
0%未満・100%超をどう読むか
(5) 同じ式で放流・処理水BODが流入BODより高ければ、計算上の除去率は負になります。負値を自動的に0%へ丸めるのではなく、採水条件、流入変動、汚泥流出、測定誤差等を確認する手掛かりとして扱います。
(6) 通常の濃度ベース式で正の流入BODを用いる限り、放流BODが0以上なら100%を超えません。100%を超える結果が出た場合は、式・単位・データ対応等を再確認します。
採水条件と比較条件
(7) BOD除去率は「処理前」と「処理後」の値を対応づける指標なので、代表性のある採水点・時期・運転条件をそろえて比較することが重要です。
(8) 浄化槽には滞留時間や流量調整があるため、ある瞬間の流入水と同時刻の放流水が同じ水塊を直接表すとは限りません。負荷や水質が大きく変動する場合は、単一の瞬間値だけから処理性能を断定しません。
(9) 流量が処理前後で実質的に同じとみなせる場面では濃度による除去率が使えますが、流量差や循環・希釈等を含む物質収支を評価する場合は、濃度だけでなくBOD負荷量による比較が必要になることがあります。
90%という数値の位置づけ
(10) 浄化槽法に基づく放流水の技術上の基準では、適用対象となる浄化槽について、BOD 20 mg/L以下と BOD除去率90%以上 が併せて定められています。
(11) 環境省は、BOD 20 mg/L以下だけでは流入BODが低い場合に十分な処理をしなくても濃度基準を満たし得るため、処理性能を担保する観点からBOD除去率90%以上も併設したと説明しています。
(12) 90%という値を、すべての既設・みなし浄化槽、すべての認定性能、すべての単回測定に無条件で適用する全国一律の判定値として扱いません。制度上の適用範囲や対象浄化槽の性能条件を確認します。
他タグとの責務境界
bod-removal-rate: BOD除去率の式、負値、採水・比較条件、性能値との比較を扱う。bod: BODそのものの測定原理、培養、希釈、DO差、測定上の限界を扱う。concentration-load-calculation: BOD濃度と流量から負荷量を求める計算を扱う。effluent-standards-performance: BOD 20 mg/L以下、90%以上を含む法定基準・認定性能・条例上乗せ等の適用関係を詳しく扱う。
覚え方・ひっかけ
- 除去率の分母は「流入」。
- 200→20 mg/Lなら90%。
- 放流側が流入側より高ければ負値になり得る。勝手に0%へ補正しない。
- 90%以上という数値を見たら、計算結果と制度上の適用範囲を分けて考える。
- 単一の瞬間的な流入・放流値だけで処理性能全体を断定しない。
出典・参考(2026-08-31確認)
- 環境省「浄化槽法の一部を改正する法律の施行について」
- https://www.env.go.jp/hourei/11/000242.html
- 適用対象となる浄化槽の放流水基準としてBOD 20 mg/L以下・BOD除去率90%以上が併設されたこと、適用除外の境界を確認。
- 環境省 中央環境審議会「第7回浄化槽専門委員会議事録」
- https://www.env.go.jp/council/former2013/03haiki/y039-07b.html
- 20 mg/L以下だけでなく90%以上の除去率を併設する制度趣旨を確認。
- 環境省「環境技術実証モデル事業 小規模事業場向け有機性排水処理技術分野」
- https://www.env.go.jp/policy/etv/pdf/list/h15/02_b_h2.pdf
- 流入水質と放流水質から除去率を求める基本式と、対応する調査日のデータで評価する考え方を確認。
※法定基準・認定性能・適用除外の詳細は effluent-standards-performance で整理する。本項では除去率の計算と解釈を原本責務とする。