廃棄物処理法の計画体系と生活排水処理計画
廃棄物処理法には、国・都道府県・市町村で名称と役割の異なる計画があります。試験では、似た名称を同じ計画として扱わず、誰が、どの法的根拠で、何を定めるのかを分けて理解します。
法律上の計画を分ける
(1) 廃棄物処理法上の主な計画・方針は、次のように主体と法的根拠が異なります。
| 法的根拠 | 主体・手続 | 名称 | 主な位置づけ |
|---|---|---|---|
| 第5条の2 | 環境大臣 | 基本方針 | 廃棄物の減量その他の適正処理に関する施策を総合的・計画的に推進するための基本的な方針 |
| 第5条の3 | 環境大臣が5年ごとに案を作成し、閣議決定を求める | 廃棄物処理施設整備計画 | 廃棄物処理施設整備事業の計画的な実施に関する計画 |
| 第5条の5 | 都道府県 | 廃棄物処理計画 | 基本方針に即して、都道府県区域内の廃棄物の減量その他の適正処理を定める計画 |
| 第6条 | 市町村 | 一般廃棄物処理計画 | 市町村区域内の一般廃棄物の処理に関する計画 |
(2) これらは名称を変えただけの同一計画ではありません。また、すべてを単純な1本の親子階層として覚えるのも避けます。たとえば都道府県の廃棄物処理計画は法第5条の5で国の基本方針に即して定めることが明記されていますが、市町村の一般廃棄物処理計画は法第6条で市町村に別途策定義務が置かれています。
一般廃棄物処理計画の内部構造
(3) 法第6条が直接定める計画名は一般廃棄物処理計画です。一方、環境省の通知・策定指針では、その計画を次のように整理しています。
したがって、「生活排水処理基本計画」が法第6条に一般廃棄物処理計画とは別個の法定計画名として直接列挙されている、と読むのは不正確です。法律上の一般廃棄物処理計画と、通知・指針で示される基本計画/実施計画の構成を区別します。
(4) 基本計画と実施計画の違いは時間軸でも整理できます。基本計画は長期的・総合的な方針を示し、実施計画はその基本計画に基づいて年度ごとの収集・運搬・処分を定めます。
生活排水処理計画と浄化槽
(5) 環境省の生活排水処理基本計画策定指針では、生活排水を「し尿及び生活雑排水」としています。ごみだけを一般廃棄物処理計画の対象と考えないことがポイントです。
(6) 生活排水処理基本計画は、市町村が長期的・総合的な視点から、目標年次の生活排水をどの方法でどの程度処理するかを定め、処理過程で発生する汚泥の処理方法等についても基本方針を示します。指針では生活排水処理施設の整備状況等を把握して計画することが示されており、浄化槽は下水道等とともに地域の生活排水処理を構成する手段として位置づけて考えます。
浄化槽汚泥が一般廃棄物としてどのように扱われるか、清掃業許可と一般廃棄物処理業許可をどう区別するかは waste-management-johkaso-sludge で扱います。集合処理・個別分散処理の技術的・経済的な比較は JOK-OV-008 の学習範囲で扱います。
試験での見分け方
- 「環境大臣の基本方針、都道府県の廃棄物処理計画、市町村の一般廃棄物処理計画は同じ計画」→ 誤り。主体・根拠・対象を分ける。
- 「生活排水処理基本計画は法第6条に独立した計画名として直接列挙される」→ 誤り。法第6条の一般廃棄物処理計画を、通知・指針で基本計画/実施計画等に整理している。
- 「一般廃棄物処理計画はごみだけを対象とする」→ 誤り。生活排水の部分も含めて整理される。
- 「基本計画が年度計画、実施計画が長期計画」→ 誤り。基本計画が長期方針、実施計画が年度ごとの具体化。
出典・参考(2026-09-06確認)
- e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第5条の2、第5条の3、第5条の5、第6条
- https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137
- 環境省「一般廃棄物処理基本計画策定指針」
- https://www.env.go.jp/recycle/waste/gl_dwdbp/index.html
- 環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第六条第一項の規定に基づく生活排水処理基本計画の策定に当たっての指針について」(平成2年10月8日 衛環200号)
- 一般廃棄物処理計画を基本計画と実施計画に分け、それぞれをごみ処理と生活排水処理に分ける構成、生活排水をし尿・生活雑排水とする定義、生活排水処理基本計画の位置づけを確認。
- https://www.env.go.jp/hourei/11/000480.html