活性汚泥槽の運転管理
活性汚泥槽の運転管理では、MLSS、DO、SV・SVI、返送汚泥、余剰汚泥、汚泥界面、処理水質などを相互に関連付け、処理状態を維持するための調整を行います。個々の点検方法は activated-sludge-tank-maintenance、返送・移送装置の調整は sludge-return-transfer で扱い、ここでは測定結果を運転条件の変更へどうつなげるかを中心に整理します。
運転管理は一つの数値で決めない
- (1) 現行の環境省関係浄化槽法施行規則は、ばっ気タンク・ばっ気槽等について、溶存酸素量と混合液浮遊物質濃度が適正に保持されるようにすることを保守点検の技術上の基準としています。
- (2) 実際の運転判断では、MLSS、DO、SV・SVI、汚泥界面、返送・余剰汚泥、負荷、ばっ気・攪拌、処理水質を組み合わせ、単一指標だけで運転条件を決めません。
- (3) 今回の測定値だけでなく、前回値や運転条件の変更履歴、処理水質の推移を確認して、変化の方向を把握してから調整します。
- (4) 異常所見が複数ある場合は、原因を一つに決め付けて大幅調整せず、設備異常・負荷変動・汚泥性状・固液分離などを切り分けます。
MLSSとDOを対応させる
- (5) MLSSは活性汚泥量を把握する基本指標ですが、適正範囲は処理方式・型式・負荷等によって異なるため、対象設備の維持管理要領書等と照合します。
- (6) MLSSは高いほど常に処理が良くなるわけではなく、酸素供給、沈降分離、汚泥返送、余剰汚泥引抜きとのバランスで管理します。
- (7) DOは微生物への酸素供給状態を見る重要指標で、ばっ気・攪拌状態、MLSS、負荷、汚泥性状と合わせて評価します。
- (8) 公的資料に示されるDO・MLSSの数値には対象方式や判定目的の文脈があるため、一つの数値を全ての活性汚泥方式に共通する万能な運転値として適用しません。
SV・SVIは沈降性を見る指標
- (9) SVは一定時間静置した混合液の沈殿量から、活性汚泥の沈降状態を把握する指標です。
- (10) SVIはSVとMLSSを組み合わせ、汚泥濃度の影響を考慮して沈降性を評価するために用います。
- (11) SV又はSVIの値だけから、返送量や余剰汚泥引抜量を機械的に決めません。
- (12) SV・SVIは沈殿槽の汚泥界面、汚泥流出、フロック性状、処理水のSS等と合わせて固液分離状態を判断します。
SRTと余剰汚泥
- (13) SRT(汚泥滞留時間)は、活性汚泥が水処理系内に保持される時間を表す運転管理指標です。
- (14) SRTは水そのものの滞留時間であるHRTとは別の概念で、返送汚泥により汚泥を系内へ保持する活性汚泥法では両者を同じものとして扱いません。
- (15) 余剰汚泥の引抜きは、系内の汚泥量を調整し、MLSSやSRTを管理する主要な操作の一つです。
- (16) 返送汚泥は沈殿汚泥を生物処理槽へ戻す操作、余剰汚泥は増殖・蓄積した汚泥を系内管理のために引き抜く操作であり、目的を混同しません。
- (17) 目標とするSRTや余剰汚泥引抜条件は、処理方式、処理目標、水温、負荷、型式等によって異なるため、対象設備の設計・認定資料や維持管理要領書等で確認します。
余剰汚泥量を調整する
- (18) 余剰汚泥の引抜きが不足して系内汚泥量が増える場合は、MLSS上昇だけでなく、酸素供給、沈降分離、汚泥界面、処理水への汚泥流出等への影響を確認します。
- (19) 余剰汚泥を過度に引き抜くと必要な活性汚泥量を維持できないおそれがあるため、単一所見に反応して一度に大幅な引抜きを行いません。
- (20) 余剰汚泥引抜量は、MLSS、SRT、SV・SVI、汚泥界面、負荷、処理水質、返送状態等を確認して対象方式の管理条件へ調整します。
- (21) 調整後はMLSS、DO、SV・SVI、汚泥界面、処理水質等を再確認し、変更した運転条件と結果を記録して次回判断につなげます。
処理水質が悪化したとき
- (22) 処理水質が悪化しても、直ちにMLSS不足、DO不足、SRT不足など一つの原因へ固定せず、流入負荷、ばっ気・攪拌、汚泥性状、返送・引抜き、沈殿分離、設備状態を確認します。
- (23) 原因候補を切り分けた後、対象方式・型式の管理条件に従い、空気量、返送量、余剰汚泥引抜量等の必要な操作を選択します。
JOK-MA項目との境界
- (24) JOK-MA-017は汚泥返送・移送装置の実作動確認と返送量・移送量の調整を扱います。
- (25) JOK-MA-018はMLSS、DO、SV・SVI、SRT、余剰汚泥を相互に関連付け、測定・診断・調整・再確認を繰り返す活性汚泥槽の運転管理を扱います。
- (26) JOK-MA-019は沈殿槽の汚泥界面、越流、浮上・流出、スカム等を中心とする点検と汚泥管理を扱います。
出典・参考(2026-09-01確認)
- e-Gov法令検索「環境省関係浄化槽法施行規則」
- https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=359M50000100017
- 環境省「浄化槽法定検査判定ガイドラインについて」
- https://www.env.go.jp/hourei/11/000239.html
- 環境省「浄化槽法の運用に伴う留意事項について」
- https://www.env.go.jp/hourei/11/000243.html
- 国土交通省「平成30年度下水道技術海外実証事業(WOW TO JAPANプロジェクト)の採択技術を決定」
- https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000584.html
※方式別のMLSS、DO、SRT、返送率、余剰汚泥引抜量等の具体値は、一律値として扱わず対象方式・型式の資料で確認します。