好気性処理と嫌気性処理

最終更新日: 2026-09-03

好気性処理と嫌気性処理

(1) 好気性処理は、水中の溶存酸素を利用できる条件で好気性微生物の働きを利用する生物処理です。

(2) 嫌気性処理は、分子状酸素を利用しない条件で嫌気性微生物の働きを利用する生物処理です。

(3) 好気性処理では、必要な酸素を供給するためにばっ気を行う方式が代表的です。

(4) 浄化槽の接触ばっ気槽では、ブロアでばっ気しながら接触材に付着した好気性微生物によって有機物を処理します。

(5) 浄化槽の嫌気ろ床槽では、ろ材による固形物の分離・貯留に加えて、嫌気性微生物による有機物分解が行われます。

(6) 嫌気性処理は有機物分解のための酸素供給を必要としないため、好気性処理のようなばっ気動力を必要としません。

(7) 嫌気性処理でばっ気が不要であっても、移送・撹拌など処理設備全体の動力がすべて不要になるとは限りません。

(8) 一般に嫌気性処理は好気性処理より微生物の増殖収率が低く、余剰汚泥の発生量が少ない傾向があります。

(9) 嫌気条件では、微生物群と基質・環境条件がそろうとメタン生成が起こることがあります。

(10) すべての嫌気性処理でメタン生成が同じ程度に起こるわけではありません。

(11) 嫌気条件では、硫化水素を生成する微生物が働く場合があり、臭気や腐食の原因となることがあります。

(12) 嫌気性処理であること自体が、常に強い臭気が発生することを意味するわけではありません。

環境条件と微生物側の性質を分ける

(13) 「好気・無酸素・嫌気」は処理槽側の酸素・電子受容体条件を表すのに対し、「好気性・通性嫌気性・偏性嫌気性」は微生物側の酸素利用特性を表します。

(14) 好気性微生物は、水中に溶けた酸素を利用して生育する微生物です。

(15) 通性嫌気性微生物は、酸素が存在する条件でも存在しない条件でも生育できる微生物です。

(16) 偏性嫌気性微生物は、酸素のない条件でのみ生育できる微生物として整理されます。

(17) 汚水処理で一般的に扱う従属栄養型の脱窒菌の多くは通性嫌気性で、酸素が利用できない無酸素条件では硝酸・亜硝酸を電子受容体として利用できます。

(18) メタン生成古細菌は、偏性嫌気性微生物の代表例です。

(19) メタン生成を担う主要な微生物群はArchaeaに属するため、「メタン生成菌」を生命分類上のBacteriaと同義に扱いません。

(20) 好気性・通性嫌気性・偏性嫌気性という酸素利用特性と、従属栄養・独立栄養という炭素源の区分は別の分類軸です。

(21) 「好気性だから独立栄養」「嫌気性だから従属栄養」のように、酸素利用特性と栄養様式を一対一対応させません。

浄化槽での組合せ

嫌気ろ床接触ばっ気方式では、前段の嫌気ろ床槽と後段の接触ばっ気槽を組み合わせます。嫌気・好気を単純な優劣として覚えるのではなく、それぞれ異なる条件と役割をもつ処理として理解します。

覚え方・ひっかけ

  • 「好気・無酸素・嫌気」という槽内条件と、「好気性・通性嫌気性・偏性嫌気性」という微生物の性質を分ける。
  • 通性嫌気性微生物は「酸素があると必ず死ぬ微生物」ではない。
  • メタン生成古細菌をBacteriaの一群として覚えない。
  • 従属栄養・独立栄養と好気性・嫌気性を同じ分類軸にしない。
  • 嫌気性処理を「必ずメタンが大量発生する処理」と同義にしない。
  • 嫌気性処理はばっ気が不要でも、設備全体の動力がゼロになるとは限らない。
  • 「嫌気性処理は必ず悪臭が強い」という絶対表現も避ける。

出典・参考(2026-09-03確認)

好気性処理と嫌気性処理に関する問題