接触ばっ気槽

最終更新日: 2026-09-08

接触ばっ気槽とは

(1) 接触ばっ気槽は、接触材に付着した生物膜を利用する好気性の生物処理槽です。

接触材と生物膜

(2) 接触材は、生物膜を槽内に保持するための表面を提供します。

(3) 接触材の表面には、好気性微生物を主体とする生物膜が形成されます。

(4) 生物膜中の微生物は、汚水中の有機物を分解します。

(5) 接触ばっ気槽の接触材と、回転板接触方式の回転円板は同じ装置ではありません。

告示第1292号・分離接触ばっ気方式の接触材

(6) 昭和55年建設省告示第1292号第一第一号の分離接触ばっ気方式では、接触ばっ気槽の接触材の充填率を、接触ばっ気槽の有効容量に対しておおむね55%とします。「55%以上」という下限値ではなく、「おおむね55%」という規定である点を区別します。

告示第1292号・分離接触ばっ気方式の容量・区画・水深

(7) 同じ告示構造の接触ばっ気槽の最小有効容量 V(m³)は、処理対象人員 n に応じて、n≦5 は V=1、6≦n≦10 は V=1+0.2(n-5)、11≦n≦50 は V=2+0.16(n-10) とします。例えば n=20 なら V=3.6 m³ です。

(8) 接触ばっ気槽の有効容量が5.2 m³を超える場合は、二室に区分して直列に接続します。5.2 m³以上 ではなく「5.2 m³を超える」が告示の条件です。

(9) 二室に区分する場合、第一室の有効容量は接触ばっ気槽の全有効容量のおおむね5分の3とします。

(10) 有効水深は 1.2 m以上、処理対象人員が10人を超える場合は 1.5 m以上 とします。二室に区分する場合、この規定は第一室の有効水深について読みます。

(11) 接触ばっ気槽の有効容量が5.2 m³を超える場合は、消泡装置を設けます。二室直列化と同じ 5.2 m³超 が境界ですが、区画条件と消泡装置は別個の構造要件です。

ばっ気が担う役割

(12) ばっ気は、好気性微生物の反応に必要な酸素を槽内へ供給します。

(13) ばっ気は、槽内の水を撹拌して汚水と生物膜の接触を促します。

(14) 接触ばっ気槽では、槽内の水流や撹拌が大きく偏らないことが重要です。

(15) 水流やばっ気の偏りによって死水域が生じると、生物処理機能が低下するおそれがあります。

(16) 散気管の目詰まりは、空気供給の偏りにつながることがあります。

告示第1292号・分離接触ばっ気方式のばっ気量

(17) 昭和55年建設省告示第1292号第一第一号の分離接触ばっ気方式では、接触ばっ気槽へ送る1時間当たりの空気量 Q(m³/h)を処理対象人員 n に応じて、n≦5 は Q=2、6≦n≦10 は Q=2+0.4(n-5)、11≦n≦50 は Q=4+0.25(n-10) とします。例えば n=20 なら、Q=4+0.25×(20-10)=6.5 m³/h です。この式は第一第一号の分離接触ばっ気方式の基準であり、別方式の送風量基準と混同しません。

告示第1292号第六第二号の大型接触ばっ気方式

以下は昭和55年建設省告示第1292号第六第二号の構造基準です。第一第一号の小型分離接触ばっ気方式や、性能評価型・個別認定型式の運転値へ一般化しません。

(18) 接触ばっ気槽は二室以上に区分します。

(19) 接触ばっ気槽全体では、有効容量1 m³当たりの日平均流入水BODを0.3 kg/(m³・日)以下とします。

(20) 接触ばっ気槽全体の有効容量は、日平均汚水量の3分の2以上とします。

(21) 第一室では、有効容量1 m³当たりの日平均流入水BODを0.5 kg/(m³・日)以下とします。

(22) 第一室の有効容量は、接触ばっ気槽の全有効容量の5分の3以上とします。

(23) 接触ばっ気槽の有効水深は1.5 m以上5 m以下とします。

(24) 接触材の充填率は、接触ばっ気槽の有効容量に対して55%以上とします。第一第一号の「おおむね55%」とは区別します。

(25) 槽内の溶存酸素は1 mg/L以上に保持します。

(26) ばっ気装置の空気量は、容易に調整できる構造とします。

(27) ばっ気装置は、槽内を均等に撹拌できる構造とします。

(28) 接触材は逆洗できる構造とします。

(29) 逆洗等で生じた汚泥を、所定の前段槽へ移送できる構造とします。

(30) 接触ばっ気槽には消泡装置を設けます。第一第一号の5.2 m³超という条件は付きません。

告示第1292号第七第一号の接触ばっ気・ろ過方式

以下は、第七第一号の接触ばっ気槽に関する構造基準です。第一第一号、第六第二号や個別認定型式へ一般化しません。

(31) 接触ばっ気槽で用いる移流計画汚水量には、日平均汚水量にろ過装置の一日当たり逆洗水量を加えます。

(32) 接触ばっ気槽の有効容量は、移流計画汚水量の6分の1以上とします。

(33) 接触ばっ気槽の有効水深は1.5 m以上5 m以下とします。

(34) 接触材の充填率は、接触ばっ気槽の有効容量に対して55%以上とします。

(35) 槽内の溶存酸素は1 mg/L以上に保持します。

(36) 接触ばっ気槽には消泡装置を設けます。第一第一号の5.2 m³超という容量条件は付きません。

(37) 第八第一号の接触ばっ気・活性炭吸着方式では、接触ばっ気槽で用いる移流計画汚水量にろ過装置の一日当たり逆洗水量を加えます。

(38) 第八第一号では、接触ばっ気槽で用いる移流計画汚水量に活性炭吸着装置の一日当たり逆洗水量も加えます。

生物膜は厚いほどよいわけではない

(39) 生物膜が過剰に肥厚すると、接触材の閉塞を招くおそれがあります。

(40) 接触材や移流管の閉塞は、槽内水位の上昇を招くことがあります。

(41) 接触材の閉塞やばっ気不良は、撹拌水流の偏りを生じさせることがあります。

(42) 生物膜の一部が接触材から剥離すると、剥離汚泥が生じます。

(43) 剥離した生物膜等は、槽底部に堆積汚泥として蓄積することがあります。

逆洗と剥離汚泥の移送

(44) 接触材の逆洗は、過剰に付着した生物膜を剥離させるために行う保守操作です。

(45) 逆洗等で生じた剥離汚泥は、型式の構造に応じて適切な場所へ移送します。

(46) 逆洗は、生物膜の付着状況や閉塞等の状態を確認して必要性を判断します。

(47) 逆洗の具体的な操作方法は、型式ごとの維持管理要領書に従います。

(48) 接触ばっ気槽の逆洗を、状態にかかわらずすべての保守点検で必ず実施するものとは扱いません。

返送汚泥との違い

(49) 接触ばっ気槽では、微生物は主に接触材上の生物膜として槽内に保持されます。

(50) 生物膜を保持するために活性汚泥法と同じ返送汚泥系を必須とすることは、接触ばっ気槽の基本原理ではありません。

(51) 接触ばっ気槽でも、剥離汚泥の移送が必要になることがあります。

(52) 接触ばっ気槽でも、堆積汚泥の清掃が不要になるわけではありません。

法定検査・維持管理での見方

(53) 法定検査では、接触材の固定・保持状況が確認対象になります。

(54) 法定検査では、接触材の変形や破損が確認対象になります。

(55) 法定検査では、接触ばっ気槽の水位と水流の異常が確認対象になります。

(56) 維持管理では、生物膜の付着状況を確認します。

(57) 維持管理では、剥離汚泥の生成状況を確認します。

(58) 維持管理では、堆積汚泥の生成状況を確認します。

試験でのひっかけ

  • 「接触材に生物膜が付く」と「回転円板が回る」を混同しない。回転板接触方式は別方式。
  • 「生物膜は厚いほど処理が良い」と考えない。過剰肥厚は閉塞、水流偏り、剥離汚泥増加につながる。
  • 「ばっ気=酸素を入れるだけ」と考えない。槽内撹拌と汚水・生物膜の接触にも関与する。
  • 「逆洗すれば終わり」と考えない。剥離した汚泥の移送まで処理系として読む。
  • 「接触ばっ気は返送汚泥がないから汚泥管理不要」としない。
  • 告示第1292号第一第一号の接触材充填率は「おおむね55%」であり、第六第二号・第七第一号の「55%以上」と混同しない。
  • 告示第1292号第一第一号のばっ気量式を、別方式の送風量基準へ一般化しない。
  • 5.2 m³超 の二室直列化・消泡装置を 5.2 m³以上 と読み替えない。
  • 二室時の第一室容量は「おおむね3/5」。沈殿分離槽の第一室「おおむね2/3」と混同しない。

責務境界

  • 嫌気ろ床接触ばっ気方式全体の槽構成・処理フロー → JOK-ST-006
  • 分離接触ばっ気方式との比較 → JOK-ST-007
  • ブロワ、散気装置など個別機器 → johkaso-equipment
  • 生物膜法と浮遊生物法の一般比較 → suspended-vs-attached-growth
  • 具体的な保守点検手順・測定・調整 → MA側
  • 清掃時の汚泥引抜き → CL側

出典・参考

2026-09-08確認。

※接触材の形状、逆洗装置、空気配管、バルブ設定、逆洗時間等は型式によって異なるため、個別型式の維持管理要領書を優先します。

接触ばっ気槽に関する問題