回転板接触方式とは
(1) 回転板接触方式は、回転板の表面に形成された生物膜を利用して汚水を好気性処理する生物膜法です。
(2) 微生物は主として回転板表面の生物膜として保持されます。
(3) 回転板接触方式を、ばっ気槽内の浮遊活性汚泥を沈殿・返送して維持する活性汚泥法とは区別します。
回転板と空気・汚水の接触
(4) 回転板は駆動装置によって回転します。
(5) 回転に伴って、回転板上の生物膜は汚水と接触します。
(6) 汚水と接触する間、生物膜は汚水中の有機物などの基質を利用します。
(7) 回転板の一部が水面上へ移る構成では、生物膜が空気側にも繰り返し露出します。
(8) 空気側へ露出する間には、生物膜への酸素供給が行われます。
(9) このように、回転によって生物膜が汚水側と空気側へ繰り返し移動することが、回転板接触方式の特徴です。
(10) 回転板全体を常時完全に水没させることを、回転板接触方式の基本原理とはしません。
接触ばっ気方式との違い
(11) 接触ばっ気方式では、槽内に保持した接触材上の生物膜を利用し、ばっ気によって酸素供給や水流を与えます。
(12) 回転板接触方式では、接触材に相当する回転板自体を機械的に回転させます。
(13) したがって、回転板接触方式を「接触ばっ気槽の固定接触材を円板形にしただけ」とは理解しません。
(14) 回転板全面へ散気管から空気を吹き込むことは、回転板接触方式を定義する必須条件ではありません。
駆動装置
(15) 回転板を所定の状態で回転させる駆動装置は、方式の機能を支える重要な設備です。
(16) 法定検査では、回転板駆動装置の稼働状況が設備の稼働状況の確認対象に含まれます。
(17) 駆動装置の停止や著しい回転異常が生じると、生物膜の汚水・空気への反復接触が損なわれ、処理機能へ影響するおそれがあります。
(18) 実施設では、駆動機、軸、軸受、回転板等の構成と点検箇所を設備仕様・維持管理要領で確認します。
生物膜と剥離汚泥
(19) 回転板表面には、処理を担う生物膜が適切に形成・保持されていることが必要です。
(20) 生物膜は厚いほど常に良いわけではありません。
(21) 生物膜が過剰に肥厚すると、回転板間の閉塞などの支障につながることがあります。
(22) 生物膜の一部は増殖・状態変化に伴って剥離し、剥離汚泥となります。
(23) 槽内に剥離汚泥や堆積汚泥が認められる場合は、その量や処理機能への影響を確認し、必要な汚泥管理につなげます。
(24) 生物膜法であることは、余分な生物膜や汚泥が一切発生しないことを意味しません。
後段の固液分離
(25) 代表的な回転板接触方式では、回転板接触槽の後段に沈殿槽を置き、剥離した生物膜などの固形物を処理水から分離します。
(26) 回転板そのものを、後段の固液分離を不要にする膜ろ過装置とは扱いません。
数値・型式依存の読み方
(27) 過去の公的な構造指針には、回転板の浸漬率、板間隔、円周速度等の設計値が示された例があります。
(28) これらの歴史的指針値を、現在のすべての認定型式に共通する法定固定運転値として一般化しません。
(29) 実施設の回転速度や回転状態の管理条件は、適用する設計資料・設備仕様・維持管理要領を確認します。
(30) 回転板の浸漬状態や配置は、適用する設計資料・設備仕様を確認します。
(31) 回転板の材質、形状、板間隔、軸・駆動部の構成は、適用する設備仕様を確認します。
異常時の読み方
(32) 回転板が停止している場合は、駆動装置、軸・軸受、異物の噛み込み、過剰な生物膜等を含めて原因を切り分けます。
(33) 異音、振動、偏心、回転むら等がある場合は、機械設備の異常を疑う手掛かりになります。
(34) 処理状態を判断するときは、生物膜の状態だけでなく回転板駆動装置の稼働状態も確認します。
試験でのひっかけ
- 回転板接触方式を活性汚泥法としない。回転板上の付着生物膜を利用する。
- 接触ばっ気方式と混同しない。回転板自体が機械的に回転する。
- 円板全体が常時完全水没する方式としない。回転により汚水側と空気側へ繰り返し接触する点を押さえる。
- 駆動装置の停止を単なる機械上の問題として切り離さない。生物処理機能へ影響し得る。
- 生物膜は厚いほどよいとしない。過剰肥厚、閉塞、剥離汚泥を確認する。
- 回転速度、浸漬率、板間隔などを全設備共通の固定値として暗記しない。
責務境界
- 接触ばっ気槽の固定接触材・ばっ気・逆洗 →
contact-aeration-tank - 流動担体・生物ろ過槽 →
moving-carrier-biofilter - 回転板上の生物膜、汚水/空気への反復接触、駆動装置、剥離汚泥 → 本項目
- 散水ろ床のろ材・散水・回転散水機 →
trickling-filter(ST-017) - 駆動装置の具体的な分解・調整・修理 → MA側
出典・参考
2026-08-30確認。
- 環境省「ごみ処理施設構造指針の改正及び生活排水処理施設構造指針の策定について」https://www.env.go.jp/hourei/11/000131.html
- 環境省「コミニティ・プラント構造指針の改訂について」https://www.env.go.jp/hourei/11/000139.html
- 環境省「浄化槽法の運用に伴う留意事項について」https://www.env.go.jp/hourei/11/000243.html
- 環境省「浄化槽法定検査判定ガイドラインについて」https://www.env.go.jp/hourei/11/000239.html
- 環境省「遠隔監視機能を有する浄化槽の保守点検の回数を定める件(告示)の公布について」https://www.env.go.jp/press/110045.html
※過去の構造指針に示された浸漬率、板間隔、円周速度等は、歴史的な設計条件の例として扱い、現在の全認定型式へ一律適用していません。