汚泥負荷(BOD-MLSS負荷)

最終更新日: 2026-09-02

汚泥負荷(BOD-MLSS負荷)

(1) BOD-MLSS負荷は、単位時間当たりのBOD負荷量を、その負荷を受ける槽内のMLSS質量で割って表す負荷です。

(2) BOD-MLSS負荷の代表的な単位は kg-BOD/(kg-MLSS・日) です。

(3) BOD負荷量が kg-BOD/日、槽内MLSS質量が kg-MLSS で与えられる場合、BOD-MLSS負荷は「BOD負荷量 ÷ 槽内MLSS質量」で求めます。

(4) 槽内MLSS質量は、MLSS濃度とその濃度をもつ混合液の有効容積から求めます。

(5) MLSS濃度を mg/L、有効容積を m³ で表す場合、槽内MLSS質量は「MLSS濃度 × 有効容積 × 10^-3」で kg-MLSS になります。

(6) BOD負荷量が同じなら、槽内MLSS質量が多いほどBOD-MLSS負荷は小さくなります。

(7) 槽内MLSS質量が同じなら、単位時間当たりのBOD負荷量が大きいほどBOD-MLSS負荷は大きくなります。

(8) BOD-MLSS負荷は、活性汚泥が受ける有機物負荷と汚泥量の比をみるF/Mの考え方に基づく指標です。

(9) BOD-MLSS負荷はMLSS質量を分母にする指標であり、処理槽の有効容積を分母にするBOD容積負荷とは別の量です。

(10) BOD-MLSS負荷はMLSS濃度そのものではなく、BOD負荷量と槽内MLSS質量の比です。

(11) BOD-MLSS負荷は有機物負荷と槽内MLSS質量の比であり、汚泥が系内に滞留する時間を表すSRT(汚泥日齢)とは別の指標です。

計算の考え方

MLSS濃度だけが与えられている場合は、まず対象槽の有効容積を使って槽内MLSS質量を求め、その後にBOD負荷量をそのMLSS質量で割ります。

例として、MLSS濃度 3,000 mg/L、有効容積 2.0 m³ の槽内MLSS質量は 3,000 × 2.0 × 10^-3 = 6.0 kg-MLSS です。この槽が 0.90 kg-BOD/日の負荷を受ける場合、BOD-MLSS負荷は 0.90 ÷ 6.0 = 0.15 kg-BOD/(kg-MLSS・日) です。

また、MLSS濃度を kg/m³ で表す場合、BOD容積負荷をMLSS濃度で割ってBOD-MLSS負荷を求められます。

JOK-WQ-028:容積負荷・汚泥負荷の計算と運転状態

(12) WQ-028では、同じBOD負荷量を「槽容積当たり」と「槽内MLSS質量当たり」の二つの分母で規格化し、BOD容積負荷とBOD-MLSS負荷を同時に計算する。両者は同じ有機物負荷を別の基準で見た指標なので、数値や単位を混同せず、BOD負荷量・有効容積・MLSS濃度のどれが変化したかを分けて読む。

  • (13) 同じ時間基準のBOD負荷量 L [kg-BOD/日]、有効容積 V [m³]、MLSS濃度 X [mg/L] が与えられたとき、BOD容積負荷は L ÷ V、槽内MLSS質量は X × V × 10^-3、BOD-MLSS負荷は L ÷ (X × V × 10^-3) で求める。
  • (14) BOD負荷量1.2 kg-BOD/日、有効容積3.0 m³、MLSS濃度4,000 mg/Lなら、BOD容積負荷は 1.2 ÷ 3.0 = 0.40 kg-BOD/(m³・日)、槽内MLSS質量は 4,000 × 3.0 × 10^-3 = 12 kg-MLSS、BOD-MLSS負荷は 1.2 ÷ 12 = 0.10 kg-BOD/(kg-MLSS・日) である。
  • (15) 同じBOD負荷量・同じ有効容積を基準にするなら、MLSS濃度を kg-MLSS/m³ に直して、BOD-MLSS負荷 = BOD容積負荷 ÷ MLSS濃度[kg-MLSS/m³] と表せる。4,000 mg/Lは4.0 kg/m³なので、0.40 ÷ 4.0 = 0.10 kg-BOD/(kg-MLSS・日) となる。
  • (16) BOD負荷量と有効容積が変わらず、MLSS濃度だけが変化した場合、BOD容積負荷は変わらない。一方、BOD-MLSS負荷は槽内MLSS質量を分母にするため、MLSS濃度が高くなれば小さくなり、低くなれば大きくなる。
  • (17) 上の例でBOD負荷量1.2 kg-BOD/日、有効容積3.0 m³を保ったままMLSS濃度が6,000 mg/Lになれば、槽内MLSS質量は18 kg-MLSS、BOD-MLSS負荷は 1.2 ÷ 18 ≒ 0.067 kg-BOD/(kg-MLSS・日) になる。BOD容積負荷は引き続き0.40 kg-BOD/(m³・日)である。
  • (18) 有効容積とMLSS濃度が同じままBOD負荷量が増えれば、BOD容積負荷とBOD-MLSS負荷はいずれも大きくなる。逆に、BOD負荷量が同じまま有効容積が大きくなり、MLSS濃度も同じなら、槽内MLSS質量も増えるため両負荷は小さくなる。
  • (19) BOD-MLSS負荷が変化したときは、BOD負荷量の変化か、MLSS質量の変化か、または両方かを切り分ける。MLSS濃度を変える操作はBOD-MLSS負荷へ直接影響するが、BOD負荷量と有効容積が同じならBOD容積負荷そのものは変えない。
  • (20) BOD容積負荷やBOD-MLSS負荷の標準値・設計値は処理方式によって異なる。環境省の構造指針でも、同じ活性汚泥系で方式ごとに異なるBOD容積負荷、BOD-MLSS負荷、MLSS濃度が示されているため、一つの数値を全方式共通の正常値として扱わない。

WQ-028の試験での見分け方

  • (21) 「BOD負荷量1.2 kg/日をMLSS濃度4,000 mg/Lで直接割れば汚泥負荷になる」→ 誤り。MLSS濃度はまず対象槽の有効容積を使って槽内MLSS質量へ直す。
  • (22) 「MLSS濃度を上げればBOD容積負荷も必ず下がる」→ 誤り。BOD負荷量と有効容積が同じなら、MLSS濃度だけを変えてもBOD容積負荷は変わらない。
  • (23) 「BOD容積負荷とBOD-MLSS負荷は同じBOD負荷を使うので数値も単位も同じ」→ 誤り。分母がm³とkg-MLSSで異なる別指標である。
  • (24) 「ある方式の標準BOD-MLSS負荷を全ての活性汚泥方式の正常値として使える」→ 誤り。標準値・設計値は方式ごとに確認する。

他タグとの責務境界

  • pollutant-load: 濃度と流量から kg-BOD/日等の単位時間当たり汚濁物質質量を求める。
  • volumetric-loading: BOD負荷量を処理槽等の有効容積で規格化する。
  • sludge-loading: BOD負荷量を槽内MLSS質量で規格化する。
  • hydraulic-load: 流量、ピーク流入、V/Q による滞留時間等を扱う。
  • JOK-WQ-028: volumetric-loading と sludge-loading の原本を利用し、計算や運転状態との関係を水質管理側で扱う。
  • 返送汚泥率・循環比: JOK-WQ-029等の運転管理側で扱う。
  • SRT・汚泥日齢: 活性汚泥の保持・増殖や維持管理の別学習単位で扱う。
  • 処理方式ごとの標準値・許容値: 方式・設備ごとのST/WQ解説で、その時点の一次資料に基づいて扱う。

覚え方・ひっかけ

  • 分母が m³ なら容積負荷、分母が kg-MLSS なら汚泥負荷。
  • MLSS濃度 mg/L をそのまま分母にせず、槽容積を使って槽内MLSS質量へ直す。
  • MLSS濃度 × m³ × 10^-3 = kg-MLSS。
  • BOD負荷量と有効容積が同じなら、MLSS濃度の変更はBOD容積負荷を変えず、BOD-MLSS負荷を変える。
  • BOD-MLSS負荷の標準値は処理方式によって異なるため、一つの数値を全方式共通として覚えない。

出典・参考(2026-09-02確認)

汚泥負荷(BOD-MLSS負荷)に関する問題