生活排水の性状

最終更新日: 2026-09-04

生活排水の性状とは

(1) 生活排水の性状は、発生源ごとの排水量、含まれる汚濁成分、汚濁負荷への寄与、時間的な変動を分けて捉える。

発生源ごとの水量と汚濁負荷

(2) 台所、風呂、洗濯、し尿などでは、水使用量と汚濁負荷への寄与が同じとは限らない。

(3) 水使用量が多い発生源が、BOD負荷も必ず最大になるとは限らない。

(4) 生活雑排水は、し尿を含まない排水であっても生活排水の汚濁負荷に大きく寄与し得る。

国土交通省が紹介する家庭用水の使用例では風呂の水使用割合が大きい一方、環境省の生活排水資料では台所排水がBOD負荷の大きな発生源として示されています。割合そのものは調査年・地域・生活様式で変わるため、固定値ではなく「水量の割合と汚濁負荷の割合は別に見る」と理解します。

原単位として読む

(5) 原単位は、ある基準量あたりの水量や汚濁負荷を表す値です。生活排水では L/(人・日) や g-BOD/(人・日) のように「1人が1日にどれだけの水量・負荷を生じるか」という形で使います。

(6) 環境省「よりよい水環境のための浄化槽の自己管理マニュアル」が示す代表例では、便所排水は 50 L/(人・日)、BOD 13 g/(人・日)、生活雑排水は 150 L/(人・日)、BOD 27 g/(人・日)、合計は 200 L/(人・日)、BOD 40 g/(人・日) です。これは生活排水の原単位を理解するための資料上の代表値として扱います。

(7) 同資料では生活雑排水の水量内訳を、台所30 L、風呂60 L、洗濯40 L、洗面10 L、その他10 L/(人・日)の代表例として示しています。BOD負荷は台所18 g/(人・日)、風呂・洗濯・洗面・その他を合わせて9 g/(人・日)とされ、水量の大小とBOD負荷の大小が同じ順番にはならないことが分かります。

(8) 原単位から総量を求めるときは、原単位に対象人数を掛けます。例えば5人で200 L/(人・日)なら 200 × 5 = 1,000 L/日 = 1.0 m³/日、BOD 40 g/(人・日)なら 40 × 5 = 200 g/日 = 0.20 kg-BOD/日 です。

(9) g/(人・日) は1人1日当たりの負荷量、mg/L は水1 L当たりの濃度であり別の量です。上の代表値なら、40 g-BOD/(人・日) ÷ 200 L/(人・日) = 0.20 g/L = 200 mg/Lと換算できますが、「40 g/(人・日) = 40 mg/L」のようには読み替えません。

(10) 原単位の代表値と、実際の家庭用水使用量の統計は同じものではありません。国土交通省のQ&Aでは家庭内使用水量を1人1日約230 Lとしていますが、これは実際の家庭内水使用量を表す統計値であり、上記の浄化槽学習用の生活排水原単位200 L/(人・日)と定義・用途が異なります。年代・資料・用途の異なる数値を一つの固定値として混ぜません。

含まれる汚濁成分

(11) 生活排水の性状は、有機物、浮遊物質、窒素、りんなど複数の汚濁成分で捉える。

BODの個別定義は bod、SSは suspended-solids、窒素・りんは現在 nitrogen-phosphorus の責務をgrill中です。し尿由来の感染性リスクの実体は fecal-pathogen-risk、その衛生状態を大腸菌数等で評価する考え方は microbial-indicators で扱い、このタグではそれらを「性状を見る複数の軸」としてだけ整理します。

時間的な変動

(12) 生活排水の流入量は生活行動に応じて時間帯で変動し、一日を通じて一定とは限らない。

(13) 流入水質も実態に応じて変動するため、一つの固定濃度だけで常に代表できるとは限らない。

環境省の生活排水処理施設構造指針でも、計画1日平均排水量、計画時間最大排水量、計画流入水質を分け、原則として実態調査を基に設定する考え方が示されています。

他タグとの責務境界

  • domestic-wastewater: 生活排水・生活雑排水の定義と発生源分類。
  • wastewater-characteristics: 発生源ごとの水量・成分・汚濁負荷寄与・時間変動と、生活排水の代表的な人日原単位を扱う。
  • pollutant-load: 濃度×流量による負荷量計算に加え、原単位×人数で得た総負荷を質量/時間として読む定量関係を扱う。
  • hydraulic-load: 日平均・時間最大・ピーク流量、滞留時間、短絡など水理側の評価。
  • treatment-population: 建築用途等から処理対象人員を算定する責務。原単位そのものとは分ける。
  • bod: 生物分解可能な有機物による酸素要求を表すBOD。
  • suspended-solids: 粒子状物質としてのSS(浮遊物質量)。
  • nitrogen-phosphorus: 窒素・りんの形態・除去等を含む既存解説。JOK-OV-005との責務粒度は継続grillする。
  • fecal-pathogen-risk: し尿に含まれ得る病原菌・寄生虫卵など感染性リスクの実体。
  • microbial-indicators: 大腸菌数などの指標微生物による衛生状態の評価。

覚え方・ひっかけ

  • 「水を多く使う場所 = BOD負荷も最大」と決めつけない。
  • 「生活雑排水 = 汚れが少ない」と決めつけない。
  • L/(人・日) と g/(人・日) は原単位、mg/L は濃度。単位を見て量の種類を区別する。
  • 代表原単位200 L/(人・日)と、実使用量統計約230 L/(人・日)を同じ固定値として扱わない。
  • 性状はBODだけでなく、SS、窒素・りん、衛生面など複数の軸で見る。
  • 1日量が決まっていても、時間ごとの流入量まで一定とは限らない。
  • 負荷量の計算式そのものは pollutant-load、ピーク流量の設計は hydraulic-load で扱う。

出典・参考(2026-09-04確認)

生活排水の性状に関する問題