ばっ気槽・活性汚泥槽の点検

最終更新日: 2026-08-31

ばっ気槽・活性汚泥槽の点検

活性汚泥法のばっ気槽では、微生物を含む混合液を適切な濃度に保ち、必要な酸素と攪拌を与え、後段で汚泥と処理水を分離できる状態を維持することが重要です。保守点検では、MLSS、SV・SVI、DO、ばっ気・攪拌、返送汚泥、余剰汚泥を別々の数字として見るのではなく、相互の関係から処理状態を診断します。

法令・検査上の位置づけ

  • (1) 保守点検の技術上の基準では、ばっ気タンク・ばっ気槽等について、溶存酸素量及び混合液浮遊物質濃度が適正に保持されるようにすることが求められています。
  • (2) 環境省の法定検査判定ガイドラインは、活性汚泥の性状、沈降性、分離性、未生成、著しい汚泥量増加等を処理機能への影響と関連付けて評価しています。
  • (3) 同ガイドラインでは、汚泥返送装置・汚泥移送装置の稼働状況や調整不良、故障、管内閉塞等も処理機能に関わるチェック対象です。

MLSSをどう見るか

  • (4) MLSSは、ばっ気槽等の混合液中に存在する浮遊物質濃度を表し、活性汚泥量を把握するための基本的な指標です。
  • (5) MLSSは高いほど常に処理に有利とは限らず、方式・負荷・酸素供給・沈降分離・汚泥返送等とのバランスで評価します。
  • (6) 適正なMLSS範囲は処理方式によって異なるため、対象方式の維持管理要領書や認定仕様、適用される公的な管理目安と照合します。
  • (7) 環境省の運用通知には、合併処理の活性汚泥方式について、長時間ばっ気方式・循環水路ばっ気方式、標準活性汚泥方式・分注ばっ気方式、汚泥再ばっ気方式ごとに異なるMLSSの目安が示されています。
  • (8) 法定検査判定ガイドラインで膜分離槽に示されるMLSS 3,000~15,000mg/Lの目安は膜分離槽に関するものであり、通常の活性汚泥槽へ一律に流用しません。

SV・SVIをどう使うか

  • (9) 法定検査の汚泥沈殿率SVは、ばっ気槽等の混合液1Lをメスシリンダーに採り、30分間静置した後の沈殿量から算定する指標です。
  • (10) 合併処理浄化槽のSV評価では、必要に応じて汚泥の外観、沈殿槽等の固液分離状況、消毒槽の汚泥蓄積、MLSS等も確認し、総合的に判断します。
  • (11) SVIは、30分沈降後の汚泥容積とMLSSを組み合わせ、活性汚泥の沈降性を汚泥濃度の影響も含めて見るための指標です。
  • (12) SV又はSVIの一つの値だけを根拠に、返送汚泥量や余剰汚泥量を自動的に決定しません。

DO・ばっ気・攪拌

  • (13) DOは、ばっ気槽等のうち溶存酸素量が適正に保持されているかを評価できる部位で測定します。
  • (14) DOの評価は、必要に応じてSV等の他の水質項目も参考にし、ばっ気・攪拌状態、MLSS、負荷、汚泥性状と合わせて総合判断します。
  • (15) 環境省の運用通知では、ばっ気タンク・ばっ気槽について槽内均等におおむね1.0mg/L以上を適正なDOの目安として示しています。
  • (16) 前記のDO目安は対象となるばっ気タンク・ばっ気槽の文脈を持つため、一点で1.0mg/L以上なら全ての運転状態が正常と判断するものではありません。
  • (17) 空気供給量の調整不良、散気装置の閉塞・破損、攪拌不良等は活性汚泥処理へ影響するため、DO値と設備状態を対応させて確認します。

返送汚泥・余剰汚泥

  • (18) 返送汚泥は、沈殿分離された活性汚泥をばっ気槽へ戻し、必要な活性汚泥量を維持するために用います。
  • (19) 返送汚泥装置の運転、調整状態、配管閉塞等を確認し、実際に必要な返送が行われているかを見ます。
  • (20) 余剰汚泥の引抜き・移送は、系内に過剰に蓄積する汚泥量を調整し、MLSSや沈降分離状態を適正に保つために行います。
  • (21) 返送量や余剰汚泥量は、MLSS、SV・SVI、沈降・分離、DO、負荷、処理水、返送汚泥濃度等を確認して調整し、一つの指標だけで極端に変更しません。

診断の組み立て

  • (22) MLSSが高い、SVが大きい、DOが低い等の単独所見を原因名に置き換えず、負荷、ばっ気、返送、沈降分離、汚泥性状を組み合わせて原因候補を絞ります。
  • (23) 今回値だけでなく、前回のMLSS・SV・DO・返送条件や処理水の推移と比較し、変化の方向を確認します。
  • (24) 調整は、測定値と機器状態の整合を確認してから、対象方式・型式に適した範囲で行います。

MA項目との境界

  • (25) JOK-MA-011は色、臭気、フロック、沈降・分離など汚泥の質的性状を扱います。
  • (26) JOK-MA-014は接触材を用いる接触ばっ気槽の接触材・生物膜・DO・水流を扱います。
  • (27) JOK-MA-015は活性汚泥法のばっ気槽について、MLSS、SV・SVI、DO、ばっ気・攪拌、返送汚泥、余剰汚泥を統合して管理することを扱います。

出典・参考(2026-08-31確認)

ばっ気槽・活性汚泥槽の点検に関する問題