滞留時間・循環比・返送汚泥率

最終更新日: 2026-09-05

滞留時間・循環比・返送汚泥率

(1) WQ-029では、容量と流量から名目滞留時間を求める計算と、循環液量・返送汚泥量を基準となる流入量に対する比で表す計算を区別します。どの流量を分母にするかを問題文・維持管理要領で確認し、循環と汚泥返送を同じ操作として扱いません。

名目滞留時間

(2) 名目滞留時間は、対象槽の有効容量 V を、その計算で基準とする流入流量 Q で割って V/Q とします。容量6.0 m³、流入量2.0 m³/日なら、名目滞留時間は 6.0÷2.0=3.0日 です。

(3) 滞留時間を計算するときは容量と流量の時間単位をそろえます。m³をm³/日で割れば日、m³をm³/時で割れば時間になります。日量と時間量をそのまま混ぜません。

(4) V/Q の名目滞留時間を求める問題で、Qが「外部からの流入汚水量」と指定されているなら、内部循環量や返送汚泥量を勝手にQへ加えません。内部循環を含めた水理評価が必要な場合は、その方式・定義に従って別に評価します。

返送汚泥率・循環比

(5) 環境省資料では、返送汚泥率を 返送汚泥量 ÷ ばっ気槽流入汚水量 × 100 で表しています。流入2.0 m³/日、返送汚泥1.0 m³/日なら返送汚泥率は50%です。

(6) 循環比も、指定された基準流量に対する循環液量の比として扱います。例えば「流入汚水量を基準にする」と明記され、流入2.0 m³/日、循環液量4.0 m³/日なら循環比は 4.0÷2.0×100=200% です。分母の定義が異なる方式・資料では、その定義に従います。

(7) 返送汚泥は沈殿した汚泥を生物反応槽へ戻して槽内汚泥量の維持・調整に関係します。一方、循環液は処理方式に応じて処理水・硝化液等を前段へ戻す操作であり、目的・流路・基準量が異なり得るため、両者の比率を同一視しません。

(8) 環境省の維持管理ガイドラインでは、流入汚水量と循環液量を測定・記録して施設の稼働状況や負荷状態を把握する考え方が示されています。設定値だけでなく、実際の流量・装置の稼働状況を確認します。

(9) 法定検査判定ガイドラインでは、汚泥返送装置・循環装置の故障、調整不能、設定不良が処理機能へ影響し得るとされています。計算上の比率が合っていても、閉塞・故障・実流量不足があれば適正運転とは限りません。

(10) 返送汚泥率や循環比の標準値・設定値は処理方式や設備条件によって異なります。特定方式の数値を全ての浄化槽へ共通の正常値として一般化しません。

試験での見分け方

  • (11) 「流入2.0 m³/日、循環4.0 m³/日だから循環比は50%」→ 誤り。流入量を分母にする定義なら 4.0÷2.0×100=200%
  • (12) 「名目滞留時間V/Qで、内部循環量と返送汚泥量も必ずQへ加える」→ 誤り。Qとして何を指定しているかを確認し、定義されていない流量を勝手に加えない。
  • (13) 「返送汚泥率は流入汚水量÷返送汚泥量×100」→ 誤り。環境省資料の定義は返送汚泥量÷ばっ気槽流入汚水量×100。
  • (14) 「循環液と返送汚泥は同じ流体・同じ目的なので比率も同じにする」→ 誤り。流路・目的・設定根拠が異なる。

責務境界

  • hydraulic-ratios: 名目滞留時間V/Q、循環比、返送汚泥率、単位整合と分母定義を扱う。
  • hydraulic-load: 日平均・時間最大・ピーク流入、流量調整、水理的過負荷、短絡流を扱う。
  • hydraulics-basics: 水頭、ベルヌーイの式、連続の式、損失水頭を扱う。
  • volumetric-loading / sludge-loading: 汚濁負荷量を槽容積・汚泥量で規格化する。
  • SRT・汚泥日齢は活性汚泥の保持時間を扱う別概念で、HRTと混同しない。

出典・参考(2026-09-05確認)

  • 環境省「有機性排水処理技術分野に関する用語」
  • https://www.env.go.jp/policy/etv/pdf/archive/020/020_H26.pdf
  • 返送汚泥率を 返送汚泥量÷ばっ気槽流入汚水量×100 と定義していることを確認。
  • 環境省「窒素除去型小型合併処理浄化槽、膜処理型合併処理浄化槽、中・大型合併処理浄化槽、単独処理浄化槽の維持管理ガイドラインについて」
  • https://www.env.go.jp/hourei/11/000288.html
  • 流入汚水量・循環液量を測定・記録し、稼働状況・負荷状態を把握する考え方を確認。
  • 環境省「小規模事業場向け有機性排水処理技術 実証試験結果報告」
  • https://www.env.go.jp/policy/etv/pdf/list/h16/02_b_4_1.pdf
  • 日平均汚水量と時間最大汚水量を別の設計条件として扱う事例、流量と滞留時間による槽容量計算を確認。

滞留時間・循環比・返送汚泥率に関する問題