し尿・浄化槽汚泥の処理方法
し尿処理施設では、物理・化学・生物のどれか一種類だけで処理が完結するとは限りません。実際の処理方式は複数の単位操作を工程として組み合わせます。
処理原理と処理方式を分ける
(1) 物理処理・化学処理・生物処理は処理原理・単位操作の分類です。一方、標準脱窒素処理方式や高負荷脱窒素処理方式などは、複数の単位操作・槽・設備を組み合わせた処理方式です。分類の階層を混同しません。
(2) 除渣、沈殿、浮上、ろ過、固液分離、濃縮・脱水などは、主として物理的な分離操作です。原理は physical-treatment で扱います。
(3) 凝集、中和、酸化等の薬品・化学反応を用いる操作は化学・物理化学処理に当たり、凝集後の沈殿・浮上等は物理分離です。原理は chemical-treatment で扱います。
(4) 活性汚泥法、生物学的硝化・脱窒、嫌気性消化、好気性消化などは微生物反応を利用します。共通原理は biological-treatment、硝化・脱窒の反応は既存の窒素除去関連解説で扱います。
処理系全体の流れ
(5) 旧し尿処理施設構造指針では、し尿処理施設を概ね 受入・貯留 → 主処理 → 消毒 の順に構成し、これに 汚泥処理 と 脱臭 を付属させる体系として整理しています。高度処理を行う場合は主処理後などに追加の処理設備を組み合わせます。
(6) 同指針では代表的な主処理方式として、生物学的脱窒素処理(標準脱窒素・高負荷脱窒素)、嫌気性消化+活性汚泥法、好気性消化+活性汚泥法、湿式酸化+活性汚泥法、浄化槽汚泥専用処理方式を整理しています。方式名は単位操作の名前ではなく、工程の組合せとして読みます。
| 処理方式・工程 | 主な理解軸 |
|---|---|
| 標準脱窒素処理方式 | 希釈したし尿等を生物学的脱窒素法で処理し、BODと窒素を同時に除去する |
| 高負荷脱窒素処理方式 | 希釈用水を原則使わず、高容積負荷の生物学的脱窒素と凝集分離を組み合わせる |
| 嫌気性消化+活性汚泥法 | 嫌気性消化と後段の活性汚泥処理を組み合わせる |
| 好気性消化+活性汚泥法 | 好気性消化と後段の活性汚泥処理を組み合わせる |
| 湿式酸化+活性汚泥法 | 湿式酸化と後段の活性汚泥処理を組み合わせる |
| 浄化槽汚泥専用処理方式 | 浄化槽汚泥を固液分離し、分離液を活性汚泥法で処理する |
| 高度処理 | 凝集分離、オゾン酸化、砂ろ過、活性炭吸着等を必要に応じて追加する |
現在の施設とのつながり
(7) 汚泥再生処理センターの性能指針では、標準脱窒素処理、高負荷脱窒素処理に加えて、膜分離高負荷脱窒素処理方式や、浄化槽汚泥の混入比率が高い場合に対応した脱窒素処理方式も整理されています。現在の施設を古い方式一覧だけで説明し切らないことが重要です。
(8) 汚泥再生処理センターは、し尿・浄化槽汚泥だけでなく有機性廃棄物を併せて扱い、メタン発酵や堆肥化等による資源回収を組み合わせる場合があります。水処理と資源化を同じ操作として扱いません。
歴史資料の使い方
(9) 旧し尿処理施設構造指針は、処理方式の構成と相互関係を学ぶ資料として有用ですが、そこに記載された設計値や方式区分を、現在のすべての施設に一律適用される現行法定値として扱いません。現行施設は性能指針、施設の設計条件、許認可・地域条件等を別途確認します。
試験での見分け方
- 物理・化学・生物 = 原理・単位操作。
- 標準脱窒素・高負荷脱窒素等 = 複数操作を組み合わせた処理方式。
- 高度処理 = 主処理の代わりではなく、要求水質等に応じて追加される処理として読む。
- 浄化槽汚泥専用処理 = 浄化槽そのものの槽内処理方式ではなく、収集された浄化槽汚泥を処理施設で扱う方式。
出典・参考(2026-09-06確認)
- 環境省「し尿処理施設構造指針及び廃棄物最終処分場指針の改訂について」
- https://www.env.go.jp/hourei/11/000206.html
- 環境省「廃棄物処理施設整備国庫補助事業に係る汚泥再生処理センター等の性能に関する指針について」
- https://www.env.go.jp/hourei/11/000369.html